こんにちは。
元高校教師のえむへいです。
今は小学校から高校まで、たいていは配置されている「スクールカウンセラー」について今回は記事を書いていきたいと思います。
今回の記事は以下の立場、内容で進めています。
・不登校だった子どもの親として、スクールカウンセラーとどう付き合えばよいかの提案
最初に結論を簡単にまとめます。
・だから良い所だけをうまく活用するべし。
教員からすれば、スクールカウンセラーは付き合いづらい
見出しからいきなりちょっとネガティブ発言で申し訳ないのですが、私が高校教師時代は、はっきり言って、スクールカウンセラー(以下SC)の先生とは少し距離を置いていました。
まあ、いいSCの先生ももちろんいましたよ。
というか、人としては基本皆さんいい先生たちばかりでした。
でもいざ私がクラス担任として、不登校など学校生活に悩みを抱えている生徒やその親御さんの支援という観点で考えてみると、なんかうまくいかなかったんです、私は。
生徒のためにも、親御さんのためにも、そして自分のためにも、言葉はちょっとあれですが、「なんかちょっと使いづらかった」んです。
これはどのSCの先生もそうでした。
私がそう感じた理由を以下にまとめます。
②勤務体系の問題
③立場の問題
④個の問題
一つ一つ説明していきます。
①相性の問題【対生徒、対親、対保護者】
SCだけでなく、一般に「カウンセラー」と名がつくものは「相性」の要素が大きいと思います。
私は心療内科に一時通ったことがありますが、そこで、自分にとっては何だかすごく厳しくて、ひどいことを言われたり、こちらの気持ちを全然理解してくれていないなあと感じる先生が、他の患者さんからすれば全然そんなことはなく、とてもいい先生だと感じる、ということがありました。
要するに「相性」なんですよね。
生徒との相性問題
SCもまさしくそうで、その生徒と相性が良ければ生徒も心を開いていろいろ話をしてくれるんですが、相性が悪いとまったく時間の無駄となってしまい、一度切りでもう面談をすることがなくなったり、下手をすれば生徒の状態が悪化したり、なんてこともあります。
実際下記のような残念な出来事もありました。
その面談のときにどうやらSCが配慮に欠けた言葉を発したらしく、それによって彼女はひどく心が傷ついてしまい、その後不登校状態が悪化した。
あとは男性のSCか女性のSCかによっても状況は変わってきますよね。
例えば男性不信に陥っている生徒が、男性のSCに心を開くなんてことはまずないでしょうし。
生徒とSCの相性問題というのが、SCの問題で一番乗り越えなければいけない課題な気が私はします。
親との相性問題
また、生徒との相性だけでなく、親御さんとの相性問題もあります。
不登校などでSCを活用する場合は、生徒本人よりも親御さんとSCが面談をする機会も多いと思います。
そのときにSCと親御さんとの相性が良ければ別にいいんですが、悪かったりしたらかえって親御さんのフラストレーションが溜まったり、わざわざ忙しいのに学校に行った意味って…というふうになってしまいますよね。
教員との相性問題
あとはSCと学校の先生との相性もあります。
過去に職員室で「あのSCは全然わかってないんだよ」とSCへの不平不満を口にしている先生もいました。
スクールカウンセラーはめったに代わらない
で、この相性問題で一つネックな点が、「SCは簡単に交代できない」ということです。
たいていの学校は、一人のSCが専属でその学校に付いていて、任期は1年更新です。
なので、もしそのSCと相性が合わないと感じた場合でも、新しいSCが来るのは1年後です。
またこの場合、もしかしたら再び同じSCが翌年度も継続してその学校に赴任するという場合もあります。
したがって、もし相性が悪い場合はその時点で「SCを利用する」という選択肢自体が一つ消えてしまうということになります。
どんな生徒や親御さんとも上手にやり取りができるSCがいればいいんですけどね。
でも、心の問題を扱う職業の場合は、なかなかそういうのは難しいかもしれませんね。
②勤務体系の問題【毎日はいない】
SCは毎日学校にはいない、というのが一般的です。
私が勤めていた高校では、だいたい月に2回程度ぐらいしか学校に来てもらえませんでした。
生徒が相談したいときにいない
これは生徒にとっては結構きついです。
悩みを抱えている生徒が「SCの先生に相談してみようかな」とせっかく思っても、そのときにSCが学校にいないと、「じゃあやっぱりいいや」となってしまうことが今まで何度もありました。
また、前もって先々の相談予約をしても、当日生徒が学校を休んだり、またそのときで気分が変わってしまうなどして、結局相談を行えないという場合もあります。
心に問題を抱えている生徒の場合は、結構その時々の気分で行動が変わってきます。
そのため、理想は保健室の先生のように、常に生徒が相談に行きたいときにはそこにいる、という形が本当はやっぱり望ましいです。
親だってスクールカウンセラーに合わせるのは大変
これは親御さんの立場でも同様です。
特に日中仕事をしていらっしゃる親御さんの場合は、平日の、しかも限定された曜日や時間帯に合わせてわざわざ時間を作って学校に行くというのは、いくら大事な自分の子どものためとは言え、やはり大変なことです。
教員もスクールカウンセラーとなかなか会えない
また、教員がSCに会いたくても会えない、という場合もあります。
SCと担任、学年主任、養護教諭などが生徒のことで情報共有や今後の対策を目的とした打ち合わせを行うことはよくあります。
しかし、教員のブラック化が叫ばれているこの時代、先生方もうまく時間を取ることが難しくなってきています。
そのような状況の中で、限定されたピンポイントの時間を空けて打ち合わせを行うということはなかなか大変です。
また、不登校の場合は予期せぬ急なトラブルが発生することも十分あるので、そのような緊急事態のときに本当はSCがいてくれたらいいなと思うことも今まで何度かありました。
だから、本当は毎日学校にいてもらえれば一番いいんですけど、まあこれはきっと、国や県の人件費等予算の問題があると思うので、なかなかすぐの改善は難しいかもしれません。
スクールカウンセラーは基本「非常勤」
これは別にSCが時間がなくて忙しいというよりは、そもそもそのような雇用契約になっているから、と言った方がいいかもしれません。
たいていのSCは一つの学校だけでなく複数の学校を担当して、週ごとや曜日ごとに学校間を行き来しています。
だから雇用形態的には、SCの先生方は非常勤の職員というのが一般的です。
なので、自治体によって異なるとは思いますが、給与的にはボーナスがなかったり、固定給ではなく時間給の場合も中にはあるでしょう。
だからはっきり言って私の知っている限り、SCの給与は低いです。
結構このような「兼業SC」も世の中多いと思います。
大学院まで出て、難関の「臨床心理士」の資格まで取っているのになんだか気の毒だなあと、その話を聞いたとき私は感じました。
スクールカウンセラーのちょっと裏話
上記のようにSCは基本決められた曜日や時間帯だけ学校にいます。
だから相談が必要な生徒は、担任や保健室の先生を通して、その時間帯を狙って相談の予約をするわけです。
で、予約が入っていない場合は、その時間帯に担任や学年主任などと打ち合わせをしたりします。
だから、悩みを抱えた生徒が多くいる学校のSCはスケジュールが詰まっていて、休憩時間もないぐらいに忙しいです。
でも一方で、全然相談の予約がなく、そもそも悩みを抱えている生徒自体が少ない学校もあります。
そのような学校を担当したSCははっきり言って暇です。
過去に私は一度保健室の先生にこのようなことを言われたことがあります。
えむへい先生、先生なんかSCに相談とかある?
プライベートな相談でもいいから。
せっかくSCに来てもらってるのに何もないのはなんか悪くて・・・
と、まあこのように、学校によって忙しさが全然違ったりするんですよね。
その分、他でもっと必要とされている学校に複数名を配置すればいいのに、と思います。
これは実現可能なレベルだと思うんですけどね。
③立場の問題【スクールカウンセラーは誰の味方?】
少し話が脱線してしまいました。
次は「SCの立場」について話を進めていきますね。
生徒が第一ではないスクールカウンセラー
理想というか、当たり前の話ですが、SCは「生徒」の味方でなければいけません。
そうでなければSCの存在は意味がないでしょう。
でもそうじゃない場合も残念ながらあります。
私自体は経験上そんなに多く直面したことはありませんでしたが、ツイッターなどを見てみると、結構生徒をおろそかにした対応をしているSCもいるようです。
根底に生徒を救いたいという気持ちがあればまだましですが、そうではなく、生徒よりも自分の保身や学校の保身にばかり一生懸命頑張ってしまっているSCも中にはいるようです。
学校のことを考えないスクールカウンセラー
あとは逆に、生徒の心の回復「だけ」しか見れていないSCもいます。
生徒のことを第一に考えるという点では、前述のSCよりは全然ましですが、あくまでもSCはただのカウンセラーではなく、「スクール」カウンセラーなので、学校現場に即したカウンセリングを行うべきだと私は思います。
高校現場では特に以下のような事例に私は頭を悩まされました。
私と不登校傾向の生徒との面談
ほんとは学校にも行きたいし、進級もしたいんですけど、どうしても学校に行けないときがあります・・・
じゃあ何とか自分の体調を見ながら、来れるときは学校に来る、ということにしよう。欠席時数はその都度伝えるから。
はい、そうします。
SCと不登校傾向の生徒との面談
ほんとは学校にも行きたいし、進級もしたいんですけど、どうしても学校に行けないときがあります・・・
いや、君はとにかく今は頑張り過ぎて疲れているから回復するまで学校は休んだ方がいいよ。
え、でもそうしたら進級とかは・・・
いや、でも無理したらますます悪くなるよ?
もっと人生長い目で見なきゃ。
進級とか学校の問題はまた別だよ。
いやいや、学校の問題は全然別じゃないです。
それに、いくらまずは心の回復を、って言っても、この生徒の場合は学校を休めば休むほどますます病む可能性もあります。
まあこの場合は、私がSCとちゃんと指導方針を最初にがっちり固めていればよかったのかもしれませんが、結構こういう指導の違いから、生徒をかえって混乱させてしまうということが過去にありました。
でも、ぶっちゃけ、生徒や親御さんの意向をきちんと捉えた支援やカウンセリングを行わないで、そのSC独自の考えを押し付けてくるSCというのは残念ながら案外多いです。
④個の問題【スクールカウンセラーによって結構言うことが違う】
SCの個人的資質の問題です。
相性の問題のところでも少し触れましたが、SCの先生も人間ですので、それぞれ考え方やポリシーみたいなものがあります。
まあ、当然と言えば当然ですよね。
先述した男性SCか女性SCか、若いSCか年配のSCかによっても、アプローチのしかたがだいぶ違ってきますしね。
しかし、例えば守秘義務が守れなかったり、自分の意見を通すことに躍起になって、生徒や親御さんの心を傷つけてしまったりというようなSCもいるのは本当に悲しいです。
教師にもよく当たり外れがあると言いますが、SCにも同じことが言えます。
繰り返しになりますが、学校にSCを複数名配置できたら解決できるんだけどなあ。
でもスクールカウンセラーにも良い点はもちろんある
さて、これまでいろいろSCの悪い点ばかりを書いてきましたが、もちろん良い点もたくさんあります。
例えば相性問題さえクリアできれば、その生徒や親御さんにとってとても心強い存在となり、実際SCによって不登校が解消したり、悩みが解決したという事例も私はたくさん知っています。
また、そこまでの成功は望めなくても、社会性が弱くなりがちな不登校生にとっては、まず誰か他者とつながるということに大きな意味があります。
それから、不登校生の親御さんは一般的に孤立しがちなので、そのようなときにSCに相談できるというのも大きな効果があるでしょう。
特に、親御さんが直面する最も難しいことである「不登校を受け入れる」ということについて、心の専門家であるSCのアドバイスが受けられるということは大きいでしょう。
また、教員サイドからしても、特に経験が浅い若い先生などは、このような生徒にどう対応すればよいか、などを相談できたりもします。
ということで、このように良い点はたくさんあるので、要はSCの良いところだけを切り取って活用しましょうということです。
自分たちがSCに合わせるのではなく、こちらの都合の良いようにSCをうまく利用したいということですね。
まとめ
以下に今回の記事をまとめます。
・でも、力になってもらえることはあるので、割り切って部分的に良い点だけを活用する
今回の記事は、別にSC批判の記事ではありません。
仕事の内容的に非常に繊細さが求められる本当に大変な職業だと思っています。
いろいろな立場や角度から、悩んだり苦しんだりしている子どもや親御さんの支援ができればいいなと思っています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
ではまた。
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