【元高校教師が解説】不登校の原因はほんとに親の愛情不足のせい?

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えむへい
えむへい

こんにちは。
元高校教師、元不登校生、元不登校生の親、えむへいです。

私は先日以下の2つのツイートをしました。

ツイートの通り、私は「不登校の原因は親の愛情不足である」という意見に対しては「反対」です。

不登校の原因はほんとに親の愛情不足のせい?

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不登校の原因はさまざまありますが、その中でも「親子関係や家庭環境」が原因の多くを占めるとする意見はとても多いです。

中には「すべての不登校は親の愛情不足が原因である」とする意見まで見られます。

しかし私は、これまでの19年間の教員経験と自分自身の不登校経験、自分の子どもの不登校経験を通して、上記の意見にはどうしても違和感を覚えます。

そこで今回の記事では「親の愛情不足」と「不登校の原因」の関係について、私なりに考察していきたいと思います。

文科省発表の「不登校の原因」はあてにならない

文科省は「不登校の原因」について「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」で、毎年不登校の理由を発表しています。

確かにこの中では、不登校の原因は「家庭に係る状況」が多くの割合を占めるとされています。

でもこのデータははっきり言ってあてになりません

詳しくは以前に記事にしましたが、そのアンケートに回答するのは学校の教員なので、もうその時点で信憑性は疑わしいんですよね。

そのアンケートに答える前に、担当の教員(たいていは生徒指導担当の先生か担任の先生)がきちんと本人や親御さんに聞けばいいんでしょうが、家庭と学校との間で信頼関係が損なわれていたり、コミュニケーションが十分でなかったりする場合も多いです。

なので、そういう場合はたいていは教員が「こうだろうな」っていう「感覚」でアンケートに勝手に答えることが多いです。

いつかこんな場面を私は目にしました。

生徒指導担当教師
生徒指導担当教師

先生のクラスの不登校の生徒、不登校の理由どれ選べばいい?

クラス担任
クラス担任

あー、この中からですか?
そうですねー、「友人関係」ですかね。
あと「家庭」もそうかな。
その二つを選んでおいてください。(※アンケートは複数回答可)

これは実際に私が学校現場で目にした場面です。

確かにこれは一部の特殊な場面で、もっときちんと理由を精査してちゃんと回答している先生方ももちろんいるとは思いますが、でもこういう場面は結構多いはずです。

そもそも学校関係者は何でもかんでも「親の愛情不足」と言いがち

私は高校の現場で19年間(そのうちの何年間かは中学校も担当)勤務していました。

その間、先生方の「それは親の愛情不足のせいだな」というセリフを私は数え切れないほど聞いてきました。

使われるパターンとしてはだいたいこんな感じです。

不登校ぎみの女子に対して

えむへい
えむへい

最近彼女不登校傾向なんですよね…
どうしてだろうなあ…

知ったかぶってる教師
知ったかぶってる教師1

いやえむへい先生、あの子は親の愛情不足が原因だよ。

問題行動を起こした男子に対して

えむへい
えむへい

なんで彼はああいう行動を起こしちゃうんですかね?

知ったかぶってる教師2
知ったかぶってる教師2

あれはもう要するに親の愛情不足ですよ。

特定の一人の先生だけがこのセリフを言うのではなく、学校が変わってもいろんな先生がこの「親の愛情不足」という言葉を発しているのを耳にしました。

親の愛情不足が原因の不登校もあるだろうけど…

たしかに親の愛情不足が原因の不登校というのもあるにはあるでしょう。

たとえば私の以前の勤務校に、親のネグレクトによって児童養護施設から登校してくる女子生徒がいました。

彼女は天真爛漫でとても活発な生徒でした。

しょっちゅう職員室にやってきては、いろんな先生方と他愛もない話をしに来るような生徒でした。

しかし彼女はたびたび校則を破ったり問題行動を起こしたりを繰り返すことが多くて、その結果、周りから少し浮いた存在となり、学校を休むことも多かったです。

その生徒が何か問題を起こすたびに、我々教員はいろいろ話を聞くために彼女と面談をしました。

そこで普通であれば問題行動を起こした生徒というのは教員にはあまり心を開かず、だんまりを決め込んだりすることが多いのですが、彼女は反対に、生き生きとまるで待ってましたと言わんばかりに饒舌となり、いろんな話を楽しそうにするんですよね。

話を聞いてほしいというか、自分に注目してほしいという感じなんです。

この生徒の場合はさすがに私も「親や周りからの愛情に飢えてるのかもなあ」とは感じました。

そもそも親子の問題は他人にはわからない

でも上記のような生徒なんてめったにいません。

これはかなりのレアケースです。

こんなあからさまにわかる生徒なんて実際はほとんどいません。

たいていはもっと「深くて見えにくい」です。

そもそも論ですが、下記のことがまず言えると私は思います。

親子の問題は他人にはわからない

そもそも親子の問題ってその親子にしかわからなくないですか?

それまでの親子の歴史というか、それまで培ってきた関係性というのは、その親子にしかわからないことが多くて、その微妙な空気を赤の他人が理解するのはすごく難しいと私は感じます。

だから他人にとってすごく難しい、なかなか見えづらい親子関係のはずなのに、他人である学校の先生が不登校の原因をそこに決めつけるというのが、私にはやっぱり違和感を覚えてしまうんですよね。

なんていうか、不登校の原因を家族のせい、親の愛情不足のせいと言っておけばとりあえずOKみたいな、学校には責任はありませんと言いたいというか、そもそも親子問題は誰にもよくわからないから、そこに原因があると逆に言いやすいというか、そんな意識が働いているように感じます。

不登校の原因を特定するのはとても難しい

それから、「不登校の原因はこれだ」と一つに決めることさえも私には違和感です。

「不登校の原因」に関して私は次のように考えます。

①不登校の原因は複数の要素が絡み合っている
②不登校の原因はそもそも本人さえもよくわからないことが多い

①不登校の原因は複数の要素が絡み合っている

私のこれまでの経験上、不登校の原因は一つではなく、複数の要素が絡み合っていることの方が圧倒的に多いです。

たとえば、学校で人間関係のトラブルがあって、でもそこにはその子どもの性格や特性が関係している、という場合があります。

またたとえば、家庭環境が複雑な生徒がいて、その配慮が足りない学校側の対応で不登校にまで発展してしまう、という場合もあります。

一方で、その子どもの性格や特性上で何か特殊なものがあったとしても、学校で何もトラブルが起こらず、不登校に発展しない場合だってたくさんあります。

また、家庭環境が複雑な場合であっても、学校のきめ細やかな対応により不登校には発展せず、普通に立派に卒業していく生徒も今までたくさんいました。

要するに、一つの要因では不登校は起きにくいと言えます。

上記のように、複数が重なって初めて不登校という状態が起こるのです。

少なくとも私の経験上ではほとんどがそうだったように感じます。

だからたとえ親の愛情不足があったとしても、それだけですぐに不登校になるというのは考えにくいです。

前述のネグレクトの女子生徒の場合は、彼女の天真爛漫ゆえに何でもずけずけと思ったことを周りに言ってしまう性格というのも人間関係をうまく築けない一因になっていました。

だから原因を一つに絞り、そこに不登校の原因を求めること自体、私はナンセンスだと感じています。

②不登校の原因はそもそも本人さえもよくわからないことが多い

さらに、そもそもなぜ自分が学校に行きたくないと思ってしまうのか、本人さえもよくわかっていないときもあります。

えむへい
えむへい

私自身私の子どもがこれに当てはまります。
詳しくは下記の記事でそれぞれ解説しています。

自分でもよくわからないものを、他人がわかるというのは、そう簡単ではありません。

確かに自分ではわからないことでも、客観的に見れる分、かえって他人にはわかるということも中にはあるでしょう。

でも、前述した通り、他人にはわかりづらい親子の問題については、本人の自覚なしに他人がそこに不登校の原因を求めるというのは無理があると私は感じます。

【断言】「親の愛情不足で不登校」なんてない!

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私はこれまでずっと不登校傾向の人生を送ってきました。

でも、私自身は親の愛情を感じながらこれまで過ごしてきました。

また、高校時代不登校になった私の子どもも口では「親の愛情を感じている」と言ってくれています。(ほんとにそうだと信じたい…)

そしてまた、これまでの教員生活19年間の中で出会った、我が子の不登校で悩み苦しんでいた保護者の方々も皆さんとても一生懸命で必死でした。

ご自分の生活のすべてを犠牲にしてまで子どものことを考え、とにかく我が子を救ってあげたいという気持ちが痛いくらいにひしひしと伝わってきました。

そんな親御さんたちの子どもへの愛情が不足しているとはとても思えません。

今回の記事で私は「不登校の原因は親の愛情不足ではない」というスタンスで考えを書いてきましたが、一番の根拠はこの「これまでの教員生活での経験を通しての実感」です。

だから「不登校の原因のすべては親の愛情不足」だなんて絶対違います。

「自分は愛情不足」と言う子ども

ただ一方では「自分は親の愛情を受けていない」とか「うちの親は毒親だった」というような言葉を目にすることもあります。

これに関しては私は以下のように考えます。

親の愛情の伝え方の問題

子どもを愛していない親、愛せない親なんて世の中そんなたくさんいるわけではありません。

いたとしてもその大半は「子どもを愛したいけどその伝え方がうまくできない」とか「子どもの前だと素直になれない」とか「子どもの愛し方がよくわからない」ということなのだと思います。

あとは親も親として成長していくものなので、最初はうまく愛せなかったのが、年月と共に徐々に子どもをうまく愛せるようになることもあります。

やっぱり人間にはいろんなパターンがあるので、子どもが産まれてきた瞬間から愛情100%の親もいれば、恋人を愛するようにゆっくり子どもへの愛情が育まれていくパターンの親御さんもいるでしょう。

いずれとにかく、これまで学校現場などで出会ってきた親御さんたちのことを振り返ってみると、愛情自体がない親御さんというのは少なくとも私が深く関わった方々にはいませんでした。

子どもへの愛情をどう伝えるか

では子どもへ上手に愛情を伝えるにはどうすれば良いのでしょうか。

私は以下のように考えます。

子どもに合った伝え方をする

これはとても難しいんですけど、子どもにも子どもなりの心地よい愛され方というのがあるんですよね。

だから親が愛したいように愛せばいいかといったらそうでもないというか。

よく「過保護すぎるのはダメ」とか「放任すぎはダメ」とか言われたりしますが、これだって子どもによって違ったりするんですよね。

過保護気味に接してもらうことで愛情を感じる子どももいれば、逆に放任気味がちょうどよく感じる子どもだっています。

しかも同じ子どもでも成長段階によって変わってきたりもします。

昔は過保護気味が良かったのに、今は放任気味じゃないとダメみたいな。

とにかく子どもに合った愛情の伝え方というのは確実にあります。

どうすれば子どもに合わせられるか

でも自分の子どもがどう愛されたいと思っているかなんてなかなかわからないですよね。

これはもう以下のように取り組んでいくしかないと私は考えます。

・日頃から子どものことをよく見る(観察)
・日頃から子どもとコミュニケーションをとる(対話)

結局は「観察」と「対話」なんだと私は思っています。

日頃から子どもをよく見て、おしゃべりをする。

とても何気ないことなんですけど、やっぱりこれがまずは大事なんだと思います。

そもそも観察と対話を怠ると子どもに関する情報収集の機会が少なくなってしまいますよね。

そうすると子どもが今何を考えているのか、何を望んでいるのかがわかりづらくなってしまいます。

ただし観察と対話をきちんとしていたとしても何を考えているのかわからないのが子どもなんですけど…

でもやはりまずは「観察と対話」を重ねることが子どもに合った愛情を伝える第一歩と言えるでしょう。

最後に【嫌な意見は無視でいい】

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巷では不登校についていろんな書物や情報、意見があります。

このブログもそのうちの一つです。

そして、これらの意見や情報というのは結構それぞれで内容が違っています。

それは、それだけ「不登校」というのは個別的であり、なかなか万能な解決策というのを見つけ出すのが難しいということを意味しています。

ただ、中には不登校の子ども本人やその親御さんをひどく傷つけてしまうような意見や内容もあります。

しかもそれは結構権威がありそうな人から発せられていたり…

えむへい
えむへい

でもそういうのはあまり気にしすぎないことです

占いなんかと一緒で、ある程度は自分に都合の良い情報を好んで選んでもいいと私は思います。

少なくともその方が精神衛生上いいだろうし、そっちの方が何だかんだで不登校の問題にも立ち向かっていけます。

それくらい、不登校を乗り越えるためにはまず「親子の心の安定」が必要不可欠です。

心をまず落ち着けないと事態も好転しづらいです。

逆に、心を落ち着けたり整えることができたら、あとは不登校の問題を乗り越えるために淡々と物事を進めていくだけです。

だから納得がいかないような、心をえぐられるような意見や情報はあまり鵜呑みにしないでいいです。

それよりも、まずはお子さんと親御さん自身の心の平安を優先して、そこから徐々に具体的な行動や対策を取っていけばいいのだと思います。

最後に今回の記事の内容をまとめて終わりにします。

・文科省の不登校の原因はあてにならない
・学校は安易に「親の愛情不足」と言いがち
・親子の問題は他人にはわかりづらい
・不登校の原因を一つに特定するのは困難
・親の愛情不足が原因の不登校なんてめったにない
・ただし愛情の伝え方の問題はあるかも
・日頃から「観察」と「対話」を大事にしましょう

お子さんの今後の「復活&大躍進」を願っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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