こんにちは。
元高校教師で元不登校生の親、えむへいです。
私は以前に下記の記事を書きました。
この記事で私は「不登校の原因は親子の問題だけではない」と書きました。
でも一方では、親子がより良い関係になれば、それだけ早く不登校を乗り越えられることもまた事実です。
というわけで今回は「親子の信頼関係」をテーマに記事を書いていきます。
今回の記事内容は以下になります。
・「褒める」は難しいという話
・親子の信頼関係を壊す行動
不登校の親子の信頼関係を強くする10の方法
子どもとの信頼関係をより強いものにするための方法を以下に示します。
私のこれまでの教師経験と子育て経験の中で、特に効果が高いと感じたものを紹介しています。
②共感する
③頑張っていること(頑張ってきたこと)を認める
④いつも笑顔でいる
⑤言葉で伝える
⑥関心を向ける
⑦おしゃべりをする
⑧共通の話題を持つ
⑨目を見て話す
⑩一緒にゲームをする
簡単に一つずつ解説していきますね。
①話を聞く
これはもう大定番ですよね。
基本的に子どもは、誰かに自分の話を聞いてもらいたい、という欲求があります。
家ではその相手が親だったり、兄弟姉妹だったりするでしょう。
ただここで注意なのは、あくまでも「子ども自身」から発信されたものを聞くということです。
子どもが言いたくなさそうなのにも関わらず、不登校の理由を根掘り葉掘りしつこく問い詰めるという行為はこの場合違います。
うちの子ども(当時高校1年生)の場合は、始め不登校になった頃に、学校に行きたくない理由を何度か軽く聞いてみたんですが、もごもごして言いよどむことが多かったので、その後はもうあまり理由については触れませんでした。
あくまでも、子どもの話したいことに耳を傾けるという姿勢が大切ですね。
②共感する
親子といえども一応他人なので、子どもの気持ちになって共感するというのは案外難しかったりします。
でもやっぱり「あなたの気持ちを私も理解したい」という姿勢は常に持っていたいですよね。
子どもが泣いていたら「辛かったね」とか、疲れていたら「大変だったね」とかの言葉や表情、態度を子どもに見せるということが必要ですね。
③頑張ってきた(頑張っている)ことを認める
子どもが不登校状態に陥るということは、それだけぎりぎりまで頑張ってきたという証拠です。
だからまずは今まで耐えて頑張ってきたことを認めてあげたいです。
高校現場でも不登校ぎみに陥っていた生徒に対して「今までほんとに頑張ってきたんだね。辛かったね」と言うと、男子も女子もたいていは一気に感情があふれて泣き出すことが多かったです。
でもその涙はダメな涙ではなくて、その後の生徒の心の開きにつながっていくことが多かったです。
④いつも笑顔でいる
親も人間なので、これも結構何気に難しいですよね。
でも絶えず怒っていたり、落ち込んでいたり、不機嫌そうな顔をしている親には、子どもは心を開きにくいです。
「子どもが不登校になっているのに親は笑ってなんかいられないよ!」っていうのも当然なんですけど、でもここはぜひ親御さんに頑張っていただいて、子どもに対して「大丈夫、大丈夫」という優しい微笑みで接してもらいたいです。
私も自分の子どもが不登校だったときに、その暗い気持ちが職場でも表情に出ちゃってたみたいで、あるとき生徒から「先生昨日なんか怖い顔してたから質問に行けなかった」みたいなことを言われたことがありました。
子どもは大人の表情をよく見てるんですよね。
そしてその表情を見て結構警戒もしています。
なるべく子どもを「オープンマインド」させるためにも、親は笑顔でいたいものです。
⑤言葉で伝える
子どもは大人のことをよく見ているとは言うものの、できれば気持ちはわかりやすく伝えた方がいいに決まっています。
「言わなくても察しろ」というのは大人の傲慢だったりするので、やっぱり子どもにはちゃんと言葉でこちらの気持ちや思いを伝えるべきです。
学校でも、言葉少なめで「何を考えているかわからない」系の先生は、生徒との信頼関係を作るのにちょっと時間がかかる傾向がありましたね。
まあ時間がかかるだけで、言葉以外の行動や態度でもだんだんと信頼関係は築けていくのですが、でも不登校で心が弱っている子どもに対してはそんな遠回りはしないで、ちゃんと言葉で伝えてあげた方が誤解も生まれにくいし、子どもも余計な勘繰りなどしなくて済みます。
⑥関心を向ける
このへんは普通の親御さんであれば大丈夫かもしれません。
ただちょっと注意しないといけないのは、常にがんがん関心を向け過ぎて、過剰に接するのは避けたいです。
やっぱりよく言われますが「見守る」ぐらいの距離感がちょうどいいですね。
⑦おしゃべりをする
子どもとの他愛もないおしゃべりや雑談というのは、信頼関係構築において案外大事な要素です。
おしゃべりの中に子どもの本心や気持ちが見えてきたりもするので、そこを親はなるべく見逃さずに、認めたり共感したりできればベストです。
学校現場では私は「掃除の時間」を結構重要視してました。
普段いまいちこちらに心を開いていないと思われる生徒の近くにわざと寄っていき、一緒に掃除をしながら軽く声を掛けるみたいなことをよくしてました。
何でもいいから何かを話すことで、その人とのわだかまりが解けるというのは、人間関係ではよくあることですよね。
⑧共通の話題を持つ
前項の「おしゃべり」と重なる感じですが、この「共通の話題を持つ」というのは、信頼関係構築の点ではかなり有効だと私は思っています。
前述の掃除の時間のおしゃべりで、「普段何して遊んでんの?」とか聞いて、生徒の方からゲームとかマンガの話が出てきて、それが私も知っているものだったらもうしめたものです。
そこで私もそれについて話すと、「え、先生も知ってるんですか?」と生き生きとした表情で会話が弾んたりします。
昔、私に全然心を開かない女子生徒がいたんですが、マンガの「スラムダンク」で一気に関係性が良くなった生徒がいました。
やっぱり何かしら「接点」を持つことで信頼関係は生まれていくんですよね。
⑨目を見て話す
以前何かの記事で書いたような気もするんですが、私は職場でもプライベートでも「人の目を見て話す」のがかなり苦手です。
なんか自分に自信がないせいか、人に見られるのが苦手なんですよね。
多少「視線恐怖症」もあるかもしれません。
それにも関わらず何とか学校の先生をやっていたんですが、あるときの「授業アンケート」で、ある女子生徒から以下のようなコメントを書かれたことがあります。
先生はよく下を向きながらとか、外の景色を見ながら話すことが多かったです。もっと私たちのことを見てほしかったです。
当時このアンケートにはかなりはっとさせられましたね。
やっぱり子どもはよく見ているなあと感じたし、やっぱりちゃんと相手の顔や目を見て話さないとダメだなあと当時ものすごく反省しました。
特に、大事なことを話すときなどは確実に「目は口ほどに物を言う」場合が多いので、私のような人は意識して行うべきですね。
⑩一緒にゲームをする
これは最後の項目ではありますが、何気に私の中で一番おすすめかもしれません。
やっぱり子どもはいくつになってもゲームは好きです。
別にテレビゲームじゃなくて、トランプやUNOとかでもいいんですけど、やっぱり遊びは子どもにとっては重要な要素です。
そういう自分が好きなものを「誰かと共有したい、一緒に楽しみたい」と思う気持ちは子どもだけでなく大人も必ずありますよね。
自分の好きな遊びやゲームで相手がにこにこ楽しそうに笑っているのを見れば、もうそれだけでその人とは仲良くなれる、信頼できるってなったりしますよね。
ちょっとだけプライベートな話をしてしまいますが、私の子どもは私とは直接血がつながっていません。
私は子どもがいる人との結婚だったので、出会ったのは幼稚園の年長のときでした。
だから最初なんてもう警戒されまくりの、信頼関係なんて何もない状態からスタートでした。
で、その時かなり距離を縮めることができたのは「ポケモンスタジアム」と「どうぶつの森」のおかげです。
まあ元々そういうのは別に嫌いではなかったんですが、でも一生懸命それらのゲームについて覚えましたね。
言葉はあれですが、ゲームや遊びって信頼関係を結ぶのにかなり手っ取り早いです。
振り返ってみると職場でも私は結構「遊びやゲーム」を活用してました。
・学校を休みがちなおとなしい生徒たちの溜まり場となっていた図書室で、生徒が持ってきた「麻雀」を一緒にやる。
・自分のクラスの国語の授業時間を潰して、空いていた体育館に行って生徒を自由に遊ばせている間、クラスで一番心配なやんちゃな生徒と「キャッチボール」をする。
すべて高校現場での話です。
はっきり言って学校的にはかなり反則スレスレか、もしくはアウトな行動で、実際後で他の先生にバレて怒られたこともあります。
でもどの生徒たちもみんなとても喜んでいたように見えたし、実際その後の指導もすごくやりやすくなりました。
だからなおさら家庭では子どもとゲームをして遊ぶのは普通にできることなので、かなりこれはおすすめですね。
以上10個の項目を見てきましたが、実際は結構当たり前なことばっかりですよね。
でもこれらを普段からきちんとやっていれば、じわじわと信頼関係が強固なものとなるように感じます。
教師の場合は基本は短期の1年勝負なのでそんなに悠長なことも言ってられないんですが、それでもこれらをきちんとやっていればだいたい毎年早い生徒はGW明けとかで、遅い生徒でも夏休み明けくらいまでにはある程度は生徒との信頼関係を築くことができていたように感じます。
「褒める」のは難しい
さて、上記の10項目の中には親子の信頼関係を築き上げる定番である「褒める」というのはあえて入れていません。
どうしてかというと、「褒める」って結構難しいんですよね。
まあだからと言って私も褒めないわけではなく、しょっちゅう自分の子どもや、学校で生徒のことも褒めてはいました。
でも、褒めた後に子どもたちの反応を見て「あ、これはうまくいったな」という場合もあれば、反対に「あ、これはいまいちだったな」というのもあったりして、「とりあえず褒めればいい」というわけでは全然ないんですよね。
ちょっと余談になるんですが、私は大学は教育学部の国語科を卒業したんですが、普通は国語専攻の学生の「卒業論文」のテーマというのは、「太宰治の人間失格における〜」とか「紫式部の源氏物語から見える〜」みたいな感じで、みんなだいたい文学作品を選ぶことが多いんです。
でもそんな中で私が選んだテーマは「教科外指導における教師の話し方研究ーその理論と方法」。
授業以外での教師による生徒との話し方を研究するというものでした。
もはや国語ですらないという…
この頃から教師と生徒の関係性みたいなものに興味があったんですよね。
で、その研究をしているときの私と担当教授との一コマが下記です。
えむへい「〇〇先生、やっぱり生徒を「褒める」というのは大事ですよね!」
そうですね。褒めるのはとても大事です。でも数ある生徒への声掛けの中でも、「褒める」という行為はちょっと別枠だと私は考えます。褒めるのは相当テクニックがいる行為です。
というようなことを言われたことがあります。
やっぱり適切な褒め方って結構簡単ではないんですよね。
ということで、今回の10項目はそれ以外の比較的簡単に取り組めるものを選びました。
「褒める」についてはまた別の機会にそれだけをテーマにして記事を書いていきたいなと思っています。
追記
「褒める」についての記事を書きました。
良ければ読んでみてください。
親子の信頼関係を壊す15の行動
今度は反対に「これをやってしまうと信頼関係が崩れてしまう」というものを以下に示します。
私も実際にやってしまって失敗したなあというものです。
②暴力をふるう
③無視する
④否定や批判をする
⑤強要や命令をする
⑥脅す
⑦理不尽なことを言う
⑧しつこく問い詰める
⑨気分で動く
⑩嫌味を言う
⑪決めつける
⑫監視する
⑬いつも焦っている
⑭すべて親が決める
⑮言ってることとやってることが違う
項目数も多いのでそれぞれについての解説は省略しますが、まあ要するに、「自分がされて嫌なことは子どもにもしちゃいけない」という単純なものなんですけどね。
ただ、信頼関係ってほんとにもろい面もあって、一度ちょっとミスっただけで、せっかくそれまで築き上げていたものが一気にゼロとかマイナスになってしまったりもするので、ほんとある意味「怖い」ものです。
そのあとすぐ自分の非に気づいて「ごめんなさい」をしても、なかなか子どもに伝わらなかったりして困ったことが家でも学校でもありました。
特に不登校に関連するのは⑤強要や命令・⑥脅す・⑧問い詰める・⑬焦る、あたりですかね。
「学校に行きなさいとか、家で勉強しなさい」とかの強要や命令もしない方がいいですし、「学校に行かないと将来生きていけないよ」と脅すのも止めた方がいいです。
また、学校に行けない理由をしつこく問い詰めるのも良くないし、いつ子どもは学校に行けるようになるんだろうと焦ってばかりいる姿を子どもに見せるのも逆効果です。
なるべくこれら15項目は避けるようにしたいですね。
最後に【普段から意識して行動】
以上合計で25項目を上げましたが、でもこれらは言葉では理解できても、実際に自分の子どもを目の前にするとなかなか実践できないということも多いですよね。
だからこれはもう「常に意識」して子どもと接するしかないと私は思っています。
自分がなかなかできないことや、逆にいつもやってしまいがちなことなどは、紙に書いたり、スマホのメモに保存してそれをトップ画像にするなど、いつも見れるようにしておいてもいいと思います。
行動が常態化している場合は、もうそれが「癖」になっていたりするので、それを変えるというのは結構大変な取り組みなんですけど、でも絶対変われるはずです。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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