こんにちは。
元高校教師で、元不登校生で、元不登校生の親、えむへいです。
今回は不登校の子どもを持つ親御さん向けの記事です。
以前私はこのようなツイートをしました。
不登校の初期はとにかく疲れ切った心と体の回復に時間を費やすべきだけど、子どもによってはそれが長くかかることもある。それだけ無理して頑張っていた証拠なんだけど、親からしたらその期間が長引くほど今後に不安や焦燥感を覚える。
もしかしたらこの時期が親にとって一番辛い時期かもしれない。— えむへい@元高校教師が不登校を応援する (@emuheiblog) November 5, 2019
ということで、今回は「不登校の子どもの回復を待つ親の辛さ」をテーマにして書いていきたいと思います。
記事の内容は以下になります。
・子どもの回復を待つ間の親の心構え
不登校の子どもの回復を待つ親の辛さ
不登校の問題は本当に多岐に渡っていて、それぞれに明確な唯一の正解というのはなかなか存在しません。
でもほぼすべての不登校に共通する対応方法としてあるのが、今回の記事のテーマでもある「子どもの不登校を認めて回復するまで待つ」というものです。
前半部分の「不登校を認める、受け入れる」ということに関しては以前の記事で触れていますので、もし良ければ読んでみてください。
今回の記事は後半部分の「回復するまで待つ」というところを中心に記事を書いていきます。
なぜ待つことが必要か
よく言われることですが、不登校になった子どもは「今辛くなったのではなく、ずっと辛かった」という状態です。
限界になるまで今まで散々頑張ってきた結果、エネルギー切れやガス欠のような状態になっています。
だからそのような状態のお子さんは基本何もできないし、何も動けない状態です。
特に不登校初期のときは、ほんとにベッドなどで横になったまま起き上がってこれないことが多いです。
なので、このような状態のときに何かをさせようとしたり、何かを期待するのはまず無理です。
むしろそのような状態のときに無理やり何かをやらせたりすると、かえって余計に状態が悪化することもあります。
確かに中にはまじめで頑張り屋な子どもであれば、無理してその後も少しは頑張れたりするかもしれませんが、それもどうせ長くは続きません。
うちの子どもがこのパターンでした。
登校渋りが続いたころに結構無理に頑張らせていたら、その後一気に完全不登校になってしまいました。
だから基本的には不登校の間は子どもを休ませましょう。
不登校克服のポイントは「子どもの心身の回復」がほとんどを占めます。
何かをさせたりするのは、ある程度元気になってからにしましょう。
でもやっぱり待つのは辛い
そうは言うものの、やっぱり子どもの回復を待つというのははっきり言って辛いです。
特に辛いのは下記の状態のときですよね。
前述の通り、不登校初期のエネルギー切れの状態のときは見た目にも具合が悪そうに見えるのでまだわかりますが、家での不登校生活が落ち着くと、その後ある程度はお子さんの状態は回復してきます。
でもこの時は、回復的にはまだまだ全快にはほど遠い状態です。
だからこんな感じなんですよね。
実際は・・・まだまだ完全には回復していない
これがなかなか周りからは判断しづらいので、親御さんからしたら下記のようになっちゃいますよね。
なんで元気になったのに学校に行かないの?
子どもが視界に入ってくるとなんかイライラするし、悲しくなってくる…
この時期が親御さんとしてはほんといちばんきつい時期だと思います。
だって見た目には元気に見えるんですから。
家では普通に過ごしているし、毎日スマホやマンガばかり見て自由に好きなことをしているし。
でも学校には行かない。
うちの子どもは何なんだ?
自分の子どもなのに一体何を考えているのか全然わからないーってなりますよね。
焦りやら不安やら腹立たしさやらで、もうてんやわんやです。
少なくとも私や私の妻はそうでした。
ほんとひどかったです。
この時期は夫婦げんかも多かったですね。
でもやっぱり「急がば回れ」な感じで、基本的には待つしかないと思います。
少なくとも私のこれまでの経験上は待つべきだと考えます。
具体的な行動を起こすのはかなり回復するまで待ってからです。
子どもの回復の目安
お子さんの心身の回復の目安としては過去に関連した記事を書いています。
回復さえしてくればやれることがだんだんと増えてくるはずですので、それを目安に親御さんがさせたいことなどもお子さんの様子を見ながら促していっていいと思います。
子どもの回復を待つ間の親の心構え
では、親としては辛いこの時期をどうやり過ごせばいいのか。
これについては以下のポイントを頭に入れることで、少し長い目で子どもの回復を待ってほしいと思います。
②子どもの人生は親の人生ではない
③親の知っている範囲に子どもを置こうとしない
④昔と今の不登校のイメージは違う
簡単に一つ一つ解説しますね。
①本当の回復を待ってからでも遅くない
前述の通り、ちゃんとした回復を待たずにすぐ何かをさせようとしても、すぐまた状態が悪くなることが圧倒的に多いです。
だから回復を待つべきなのですが、なぜ回復をなかなか待てないかというと、「焦ってしまう」からなんですよね。
周りの子どもは順調にどんどん成長しているように見えるのに、自分の子どもだけが停滞している、という感じですよね。
でもこれは見出しにもある通り、以下です。
回復さえしてしまえばそこから一気に頑張ることができます。
お子さん本人も気持ち的に鬱憤も溜まっているでしょうし、やらなきゃという思いはずっと持っていたはずですし。
だから回復したのちに猛ダッシュをかければいいんですよ。
うちの子どもは高校を辞める前後2~3ヶ月完全引きこもり状態になりましたが、そこで回復したのか、その後通信制入学、高認取得、大学合格までずっと不調にならずに一気にいきました。
回復した後またすぐ頑張り過ぎるのもよくないとは思いますが、いろいろ休んでいた分、回復さえしてしまえばうちの子どものようにある程度はお子さんは頑張れると思います。
それを期待して、まず親御さんは今は我慢して待ちましょう。
②子どもの人生は親の人生ではない
よく言われる言葉なので、わざわざここで言う必要もないかもしれませんが一応あげますね。
似たような言葉に「子どもは親の所有物ではない」という言葉もありますね。
あとは、よくあるダメパターンとして言われるものに「親ができなかったことを子どもに託す」みたいなのもありますよね。
確かにこれらの親御さんの気持ちは十分わかります。
私も一時子どもの気持ちを考えないで勝手に自分の期待を押し付けていたことがありました。
でも結局、ある意味子どもも他人なんですよね。
親とは切り離して考えるべき一人の人間というか。
なので、「不登校を経験する」という人生もまた、お子さんの人生です。
これはもうそのように受け止めるしかないと思います。
親としてできることは、不登校の経験がプラスに生きるように、お子さんの今後の人生を支えることですね。
③親の知っている範囲に子どもを置こうとしない
基本私は過保護ぎみで育ってきた自覚がありまして、だからきっと自分の子どもに対しても過保護ぎみで育ててしまってきた自覚があります。
結構子どもの心理を先読みして、いろいろやってあげてしまったり、子どもがかわいいもんだから、自分の知っている範囲のことしかやらせなかったり。
自分の知っている範囲外のことをさせるのは危険だと思っていたので。
でもダメですよねこれは。
ということで下記です。
物理的にも精神的にも親離れ子離れをしないと、親子の成長はありませんよね。
また、自分が若かった時代と今子どもたちが生きている時代も違うので、こちらの意見がそのまま子どもに通じないこともありますし。
だから、親が経験していないことを子どもが経験することに対して、親は怖がらずに受け入れましょう。
前述した通り、子どもの人生は子どものものです。
多少苦労することがわかっていたとしても、決定権は子どもにあります。
その苦労ももしかしたら子どもの今後の人生上では必要な苦労かもしれません。
子ども本人の人生を尊重するというスタンスで見守り続けるしかないでしょう。
④昔と今の「不登校」のイメージは違う
時代が違えばいろんなことが今と昔では異なります。
「不登校」についてもそれが言えます。
昔の「不登校」は下記のようなイメージですかね。
でも今はだいぶイメージが変わってきました。
こんな感じです。
たしかに昔のイメージを引きずっている人も世の中にはまだ多いです。
でも実際、だいぶ不登校に対する世の中のイメージは変わってきました。
最も根本の機関である「文科省」が、これまでずっと何十年も続いてきた不登校に対しての捉え方(「学校復帰前提策」)を初めて撤廃したんですから。
もう学校に復帰するだけが道ではなく、ほかにもたくさんの道があるということを文科省も認めているということです。
これは私が不登校だった昔では絶対考えられませんでした。
だから「不登校」という言葉は同じでも、昔と今では中身は大きく違ってきたと言えます。
昔の不登校のイメージを今の不登校に必要以上に重ねないようにしましょう。
まとめ
では今回の記事をまとめます。
・親の価値観をむやみに押し付けず、子どもの人生を最大限尊重しましょう
不登校はお子さんだけじゃなく、親御さんにとっても非常に重い経験です。
そしてそれを乗り越えるためにはどうしても多少の辛さや痛みが伴います。
その辛さや痛みが少しでも和らげばという思いで今回の記事を書きました。
少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
ではまた。
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