こんにちは。
元高校教師のえむへいです。
先日下記のツイートをしました。
世間的には通信制高校に偏見を持っている人はまだ多い。でもほんとに全然それは間違っている。
少なくともうちの子供は通信制に行ったからこそ充実した高校生活を送れたし、薬学部に合格もして今は楽しい大学生活を過ごしている。
うちの子供にとっては通信制高校で本当に良かった。— えむへい@元高校教師が不登校を応援 (@emuheiblog) March 31, 2020
ということで今回は「通信制高校」をテーマにした記事を書いていこうと思います。
【実話】不登校生に通信制高校がおすすめな理由
Twitterでも触れているように、私には今大学生の子どもがいます。(離婚をしているので、正確には「いました」なんですが、細かいところはご勘弁を…)
これまでのブログ記事でも何度か触れてきたんですが、うちの子どもは高校のときに不登校になりました。
そんな子どもが「通信制高校」に入り直して「大復活」した話を今回は詳しく書いていきたいと思います。
中学校までは「手のかからない」子ども
まずは高校に入るまでの子どもの様子を簡単に書いていきたいと思います。
すごく親バカな話で申し訳ないんですが、うちの子どもは小学校や中学校では結構優秀な子だったんです。
小学生の時に親が離婚、再婚したにも関わらず、生活態度が荒れることはほぼなく、勉強やスポーツなどにも積極的に取り組んでいました。
昔から勉強は嫌いではなさそうで、こちらが勉強しろと言わなくても自分で勝手に宿題をやるような子でした。
小学校では「30人31脚」で全国大会に出場してチームの代表も務めましたし、中学校では運動部に所属し、こちらも県選抜に選ばれて、そのキャプテンとして全国大会に出場しました。
友人も多く、とにかく明るく優しい子で、親として私も我が子が大好きでした。
高校に入って急に不登校に
その雲行きが怪しくなってきたのは、高校受験の時でした。
ランクを落とした高校を受験
部活動を引退し、受験勉強に専念したところまでは良かったのですが、自ら県内トップの進学校を第一志望に掲げたものの、なかなか合格ラインまでは成績を伸ばせませんでした。
子どもなりに塾などにも積極的に通い、本当に一生懸命勉強を頑張っていましたが、結局少しランクを落とした、それでも立派な進学校を受験し、無事に合格を果たしました。
親としてはそれで全然大満足で、ほっと一安心していたところでした。
苦しい高校生活
でもいざ高校に入ってみると、いろいろな点で学校生活の過ごし辛さや違和感を覚えたようでした。
その内容を下記にまとめるとこんな感じです。
・先生方がみんな厳しかった
・心を許せる友人がなかなかできなかった
まあ上記のようなことは多かれ少なかれ、進学校では結構よくあることだとは思います。
でもうちの子どもにとっては、これらがとにかくもう苦しくてしかたなかったようでした。
朝学習や7時間授業、週末課題やらで毎日へとへとでした。
でも勉強をサボると当然先生に怒られてしまうので、それこそ本当に泣きながら家で勉強してました。
部活動も始めは何かに入る予定もあったようですが、子どもが入った科は特別勉強が忙しい科だったので、そんな余裕はない感じでした。
友人がなかなかできなかったというのも、子どもにとって不運でした。
中学校までも、自分から積極的に人に寄っていくというよりは、受け身で人から寄ってきてもらうというスタンスの友人作りだったようで、それが裏目に出てしまったのかもしれません。
まさか勉強についていけないなんて
あとは、親としては一応ランクを落とした学校だったので、勉強については当初まったく心配してなかったんですよね。
それが、「勉強についていけない」、「勉強を頑張れない」となるなんて、まったく想定していませんでした。
今思えば、志望校を変更してある意味妥協して入った高校だったから、勉強や学校生活自体に「モチベーションがなかなか上がらなかった」ということもあったかもしれません。
5月ですでに兆候が見え始める
それから、もしかしたら今まで「いい子」をずっと演じてきて、それに疲れてしまったのかもしれません。
小中時代はほんとに申し分なさすぎる子だったので。
結局GWの課題ができずに、その頃から行き渋りを頻繁に起こすようになりました。
また、学校を休むことが多くなると、ますます友人もできにくくなっていたようでした。
クラスではすでに仲の良いグループというのが出来上がっていて、人間関係が固まっていたみたいなんですよね。
で、そんなこんなで何とか1学期は終えましたが、夏休みの課題がまた膨大にあって、それができずに2学期から本格的に不登校に突入しました。
不登校最悪の状態に突入
秋の頃がもう一番最悪でしたね。
その内容を下記にまとめます。
もう家族や両方の祖父母総出で、どうしたもんかと本当に悩んだ時期でした。
私も自身が教員であるにも関わらず、その知識や経験はほとんど生かすことはできませんでした。
教員だから自分の子どもの子育ても上手かって言ったら、そんなことは全然ありませんね。
少なくとも私はそうでした。
ほんとこの時期は自分の自信みたいなものが、がたがたと崩れる感覚がありました。
また、親としては学校への欠席連絡もこの時期は本当に辛かったです。
学校の先生とも何度も話し合ったりしたんですが、当の本人がどうしても学校に気持ちが向かず、最後は周りが折れるという形で、冬の頃に退学となりました。
学校を辞めたら元気に!
そんな最悪な状態がしばらく続いた我が子でしたが、学校を辞めてからは一気に元気になりました。
あんなに朝起きてこなかったのに、高校を辞めた途端に逆に朝ちゃんと早起きするという…
ほんとに今まで何だったんだろうというくらい、いろいろなことがまたできるように、するようになりました。
たとえば以下のような感じです。
こんな感じで、以前の子どもの状態にほとんど戻りました。
違うのはただ一点「学校に行ってない」ということだけでした。
それでも親としてはほんとに嬉しかったし、安心しました。
以前の状態であれば、冗談じゃなくほんとに「最悪のケース」もあるんじゃないかと感じたりしていたので。
そして元気になってくると、次の展開が見えてきました。
ここでちょっと先日あげたツイートを引用します。
新型コロナでみんなが大変な思いをしているが、不登校の人はこの在宅期間でなるべくたくさん心身の回復を図ってピンチをチャンスに変えてほしい。
回復の目安は「未来志向ができるかどうか」
将来こうなりたいなとか、こういうことをしてみたいなとか思えるようになれば、相当心身が回復してきた証拠。— えむへい@元高校教師が不登校を応援 (@emuheiblog) April 3, 2020
不登校最悪の時期には見られなかった「将来のこと」を話題に出すようになったんですよね。
別に親の方から話を振ったわけではありません。
あくまでも子どもの方から自然発生的に話題に出してきました。
通信制高校に行くと決める!
そのときの子どもと私の会話のやり取りです。
高校辞めちゃったけど、やっぱり大学には行きたいんだよね。
うんうん。でもどうして?
教育系か医療系の仕事をしてみたくて。
おー、そっか。じゃあ全日制の高校を来年もう一度受験するか、今から動けるとしたら、定時制とか通信制の高校が県内にいくつかあるね。
もう一度全日制を受け直すのはちょっと気が向かないなあ…
学年が一つ下になるのはきつい…
確かになあ。じゃあ定時制とか通信制とかだったら、学年もあまり気にならないし、うまくいけば学年も下がらずに大学に行けるパターンもあるよ。あと、自分と同じような境遇の人もそこにはいっぱいいると思うし。
うん。じゃあ定時制とか通信制を考えてみようかな。
よし、じゃあ資料とか取り寄せてみようか。
てな感じで話が進みました。
このときは自分が教員でよかったなあと思いました。
自分の教え子が定時制や通信制の高校に入り直して、その後頑張っている様子などをよく知っていたので。
通信制高校がうちの子どもに合っていた理由はこれ!
その後資料を取り寄せたりしていろいろ検討した結果、結局うちの子どもは「第一学院高等学校」という単位制の通信制高校に入学しました。
上記の学校も含めて、下記のリンクからいろいろな学校の資料請求ができます。
他の通信制高校もそれほど大差はないと思いますが、子どもにこの学校がとても合っていたと感じたことを下記にまとめます。
①負担の少ない課題からスタートできた
うちの子どもが通信制高校に行ってとにかく一番良かったと感じた点は、「自分のペースで取り組めた」ということです。
通信制高校に入り始めた当初は、定期的に学校から課題が出され、それを提出しに月に何度か学校に通うというスタイルでした。
課題の量も以前の全日制に比べれば全然少なくて、子どもも自分のペースで家でこつこつ課題に取り組んでいました。
最初は全日制時代の不登校の名残がまだあって、多少昼夜逆転など生活リズムも崩れることがありました。
なので、朝寝坊してもほとんど問題ないという状況は、子どもにとっては負担が少なくて良かったです。
今思えば、この「リハビリ」の期間が子どもにとってはとてもちょうど良かったと感じます。
②通信制といえども希望すれば毎日通うことができた
そのような状況がしばらく続くと、だんだんとより一層元気になってきました。
そして元気になってくると、学校に通う頻度が増えるようになりました。
こんな感じです。
↓
時間帯も午後からだったのが、午前中や朝からになる。
↓
いつの間にか毎日朝から通うようになる。
子どもが通っていた学校は、希望すれば毎日通うこともできました。
対面の授業もいくつか開講していたのでそれに参加したり、自習室で課題に取り組んだりしていたようです。
たまに体の調子が悪かったり、気分が乗らないときは別に行かなくてもいいので、①と同様、自分のペースで頑張れるという環境が子どもには合っていました。
③オンライン授業がメインだった
学校に通って授業を受ける場合のメインは「オンライン授業」でした。
静かな個別ブースでヘッドフォンをつけて画面を見ながらノートを取って勉強する、というものです。
わからないところがあれば、映像をストップしたり巻き戻したりして、見直せたようです。
教えている講師の先生方も、画面越しといえども、とても教え方が上手で面白い授業が多かったようです。
子どもが学校から帰ってきて「今日受けた〇〇先生の授業は面白かった!」と目を輝かせながらよく話してくれていました。
このオンライン授業も「自分のペース」で取り組める利点でした。
④自分の目標に合わせたプランを作れた
前述の通り、うちの子どもの一番の目標は「①大学進学」でした。
そしてできれば「②学年をダブらずに」というのもありました。
本当はこれらの目標の他に「③高校卒業の単位を取得」というのもあったのですが、これは叶いませんでした。
③を叶えようとすると、②はどうしても不可能だったからです。
結局①と②の目標を優先して、③は諦めたという感じです。
だから、今大学生のうちの子どもの学歴は、「中卒の現役大学生」です。
このあと大学を辞めてしまうようなことがもしあれば、最終学歴は「中卒」になってしまいますが、きちんと大学卒業まで頑張れば「大卒」になるという感じです。
元教員の私でも、このへんのからくりは当時あまり理解していませんでした。
これらが可能なのは「高等学校卒業程度認定試験(高認)(旧大検)」のおかげです。
うちの子どもはこの試験に高校2年生時で全科目に合格して、晴れて大学入試を受けられる資格を手にしました。
レベルとしては「大学入試センター試験を簡単にした」ようなレベルでした。
大学合格までのこのようなプランは、通信制高校に入学した当初からかなり綿密に学校側と何度も相談して決めました。
こちらの要望に沿ったプランを個別にきちんと練れるというのも、通信制高校の良さかなと感じています。
⑤先生方がとにかく優しかった
どこの学校もそうだとは限らないと思いますが、うちの子どもが通っていた学校はとにかく先生方がみんな優しかったです。
名前の呼び方一つとっても呼び捨てではなく、「〇〇君、〇〇さん(〇〇ちゃん)」のような感じで、基本は子どものやることなすことを全肯定してくれていました。
先生方のこのスタンスは、うちの子にとっては本当にありがたかったです。
何せ全日制では、かなり「先生」という人種に対して、ある意味「恐怖」みたいなものを感じていたので。
当初は私も「ちょっと甘過ぎるかな?」とも思いましたが、不登校で傷ついたうちの子どもの心には、それくらいで結果ちょうど良かったです。
ほんとに半分「癒されに」学校に行っているようなものでした。
ちなみに、うちの子が通った学校の当時の校長先生は、カウンセラーの資格も持っているようでした。
まあ、いろんな境遇の子が通う学校なので、組織としてそのあたりの配慮には特別気をつけていらっしゃったということなのだと思います。
⑥境遇が似た子たちと友達になれた
通信制入学当初、うちの子どもは「友達ができるかどうか」をかなり心配していました。
でも何だかんだでプライベートで遊びに行くような友達も何人かできたようで、結局その心配は無用でした。
話を聞くと、周りの子も以前通っていた学校で何かしらあった子が多くて、だからお互いに共感するところがあったようです。
そういう共通する感覚があると、人との距離がぐっと縮まったりしますよね。
あと、子どもが少し心配していたのは「金髪でヤンキーな怖い人」がいないかということでした(笑)
結局何人かやっぱりいたようですが、勇気を出して話してみると意外と優しかったとか言ってました(笑)
たまにほんとに悪そうな子もいるようですが、でもそういう子は結局勉強を続けることができずに、すぐ学校を辞めてしまうようです。
⑦ゆるいサークル活動があった
子どもが通った通信制高校には「フットサル」のサークルがありました。
やっぱり中学校では運動部で青春をしていたので、高校でも何か部活動をやりたかったんだと思います。
学校にもだいぶ慣れてきた頃に先生に誘われてサークルに入ることになりました。
練習は毎日はなく、もちろん練習メニューもそんなに厳しくなく、あくまでも「息抜きとして楽しむ」ことを目的としたものだったようです。
子どももフットサル自体は初心者でしたが、何人かの部員と共に楽しくがんばっていました。
たまたま部員の中に経験者が複数いたこともあり、なんと全国大会で優勝までしました。
勉強の息抜きだけでなく、仲間と共に成功体験までできて、子どもにとってはほんとに良い経験になりました。
通信制高校にみんな偏見持ちすぎ
これまで書いてきたように、うちの子どもは確実に通信制高校に救われました。
世の中的にはまだ通信制高校に偏見があるように感じますが、ほんとにそんなのは幻です。
全日制と比べて気になる点があるとしたら下記のようなところですかね。
・学校の規模が小さい
・生徒数が少ない
・行事が少ない
でもこれらは別にぶっちゃけどうでもよくないですか?
中身がちゃんとしていれば世間のイメージは関係ないし、規模や生徒数がコンパクトなりの利点もあります。
また、行事が少ない分、自分の時間を持てるということだし、家族で旅行とかたくさん行けばいいですよ。
うちではわざわざ「しおり」まで作って、家族で「疑似的修学旅行」に行きました。
また、進路に関してもその子自身の頑張りでどうにでもなります。
記事冒頭のTwitterでも書いていますが、うちの子どもも私立ですけどまあまあちゃんとした薬学部がある大学に合格しました。
また、同じ年には難関と言われる国立大学に合格した子もいました。
だから実際は全日制と比べて劣るところなんて何もないです。
通信制高校が今よりももっと人々の選択肢に入ってもいいのになと私は思っています。
まとめ
今回の記事をまとめると以下になります。
・先生方も優しい人が多い
・自分と似たような境遇の子も多い
・だから不登校だった人には通信制が向いている
・全日制と比べても何も劣らない
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
コメント
我が家は、目的があって全日制は受験せず最初から通信制高校を選びました。
不登校の経験はありません。
スポーツ選手が通信制高校を選んでいるように、我が家も目的を果たす為に選びました。
社会的に偏見があることのひとつに、多くの通信制高校が転入や不登校生徒の受け皿と宣伝してしまっていることです。
もっと、自由に学校選びができるように 通信制高校のよいところを前面に出したらいいのになと感じます。
ネット上で全日制の異常な校則や指導方法をとっぱらったら人気が出た!という書き込みを見たときは、わくわくしましたよ。
日本はまだまだ、多様性を認めない人が多いです。
子どもたちひとりひとりにあった学びかたが大切だと思います。
コメントありがとうございます。
ほんとにそうですね。もっと自然に多様な選択肢の一つとして通信制高校が選べる社会の雰囲気になればいいですね。