こんにちは。
元高校教師、元不登校生、元不登校生の親、えむへいです。
先日以下のツイートをしました。
不登校の間はむしろ常に学校のことが頭から離れない。なんだったら普通に学校に行っている人以上に意識している。だから忘れたくてスマホとかゲームとかするんだけど、どこかもやもやしてしまう。学校を休んでほんとに学校のことを忘れられるような人は、そもそも不登校にはなってない。
— えむへい@元高校教師が不登校を応援する (@emuheiblog) October 31, 2019
今回はこれについて、もう少し詳しく書いていきたいと思います。
今回の記事内容は以下です。
・自宅にいる不登校の子どもへの接し方
自宅にいるときの不登校の子どもの心の中
親からしたら不登校の子どもの気持ちを読むのはなかなか難しいです。
落ち込んでいて、具合が悪そうにしているならまだしも、とてものほほんとして、なんだか気楽に見えるときさえあります。
不登校の子どもの普段の様子
朝仕事に出掛けるときには、まだ子どもは寝ている。
もしかしたら昨日も夜遅くまでゲームやスマホをしていたのかも。
完全に昼夜が逆転してるじゃん。
昨日は朝起きてきたけど、やっぱりスマホやゲームばっかり。
仕事から帰ってきても、朝とまったく同じ姿勢でまだゲームをやってる。ほんとになんなの!
こんなふうに親心子知らず的な感じで、ほんと自分の子どもは一体何なんだ、これからどうするんだろう、どうやって子どもと接したらいいんだろう、というパターンが不登校の子どもの場合、本当によくあります。
不登校の親も苦しい
これらの様子に親としてはもうがっかりだし、「もしかしたら自分の子どもはもう一生このまま家に引きこもってしまうんじゃないか」、「もう昔みたいに家族で楽しく過ごすことはできないんじゃないか」と悩み、苦しみ、絶望してしまう。
こんな感じにひどく気持ちが滅入ってしまう不登校の親御さんは少なくないです。
お子さんに対しても、自分の子どもなのに一体何を考えているのかわからない。
どこが具合が悪いのかもよくわからない。
毎日スマホやゲームで遊んで寝ての繰り返しで、ほんとに具合が悪いの?仮病じゃないの?というふうに子どものことを見て、子どもにきつい言葉もぶつけてしまいがちです。
私も自分の子どもが不登校だったときは本当に悩みました…
家族全体の雰囲気も何だかどよんとした重い空気になってしまって、生活全般が暗いものになってしまうんですよね。
不登校の経験がある親でも、子どもの不登校は辛い
私は自分自身も子どもの頃に不登校だった経験があります。
自分がそういう経験があるにも関わらず、それでもやはり子どもの不登校というのはとても悩みました。
だからまして、不登校の経験がない親御さんの場合は、なぜ自分の子どもがこうなってしまったのか、育て方が悪かったのかなど、本当に訳がわからない状態になってしまいます。
私の子どもの場合、その後何とか復帰を果たしました。
この記事を書くにあたり、そのときのことや自分の不登校のことをもう一度思い出し、また、教師時代に多くの不登校の生徒に対応したことを元にして、以下に「不登校の子どもの心の状態はどうなっているのか」について解説していきます。
不登校の子どもは常に学校を意識している
まず本人は常に学校のことを意識している、ということです。
見た目はただ毎日ゲームやスマホばかりに熱中しているように見えますが、心の中は決して穏やかではなく、いつも学校のことが頭から離れてはいません。
不登校の子どもは外出したがらない
その証拠に「外へ出たがらない」ということがあります。
外へ出るということは、学校の先生や知り合いに会う可能性があります。
また、学校にいるべき平日日中の時間帯に外へ出るのは、これもまた他人の目が気になります。
だから平日や休日など、どの曜日や時間帯においても不登校の子どもは外へ出たがらなくなります。
子どもの心はまるで犯罪者
子どもは、自分が学校に行くべきだということは百も承知です。
だから、学校に行くべきなのに行けていない自分に対して罪悪感や自己否定があり、常に自分を責めています。
自分はなんて弱い人間なんだ。情けない。親や先生、友人に対して心配をかけたり、迷惑をかけたりして自分はなんて悪いことをしているんだ…
などと、まるで自分のことを犯罪者のように捉えている場合もあります。
だから常に人の目が気になり、外へ出たとしてもマスクや帽子を身に着け、背中を丸めて歩くなど、その様子はまるで犯罪を犯した逃亡犯のようです。
家にいるときも同様で、基本的に自分の存在を消したりします。
具体的には、家にいるときも電気を消したり、宅配便や家の電話にも出なかったりなど、ひっそりと自分の存在を消しがちです。
それぐらい自己否定、自己嫌悪感が強い状態になっています。
疑心暗鬼に陥る
そういう生活を送っていると、思考もネガティブになりがちです。
本当はそうは思っていないのに、家族や先生、友人などすべての人間が自分のことを馬鹿にしているはずと感じ、接触や連絡も取りたがらなくなります。
だから当然学校の話題もしたくないという気持ちになっています。
以前できていたことができなくて悲しいのは本人も一緒
親御さんと同じように、今の現状に悩み苦しんでいるのは本人も一緒です。
「この苦しみがまるで永遠に続いてしまうのではないか」、「自分はもう生きていても意味なんてないんじゃないか」とさえ考えてしまうこともあります。
今の苦しみから抜け出し、また以前のようにいろいろ自由に楽しみたいという気持ちは、親御さんと一緒です。
学校を休んでいても心では全然休めていない
このように不登校の子どもたちは基本的に、全然心の中では休めていません。
平日や休日に関係なく常に心がざらついています。
だから、「少しの間でもいいからこのもやもやを忘れたい、消し去りたい」という気持ちから、ゲームやネットに依存しがちです。
ゲームやネットは辛い現実から逃避するための自己防衛です。
でも誰よりも現状を変えたいともがいている
不登校の前半あたりは、そもそも体力がすり減っていて、思考停止状態のことが多いので、一日中ずっと寝ていたり、横になりながらスマホをいじっていたりの状態が続きます。
しかし、この状態がしばらく続くと徐々に体力や思考が回復し出して、今度は自分で行動を起こし始めてきます。
具体的にはSNSで自分と似たような状況の人とつながりを求めたり、不登校関連のことをネットで調べて読んだりなどの行動です。
これらの行動も家族にはあまり目につかないところで行っていることが多いので、ますます親からはただネットやスマホで遊んでいるというふうにしか見えません。
でも何かしら子どもも「今のこの状態を変えたい」と行動していることが多いです。
逆に本当に全然行動していないときは、まだ心も体も回復していない時期と言えるでしょう。
自宅にいる不登校の子どもへの接し方
したがって、親御さんとしては、上記のことを理解した上で子どもとうまく接することが求められます。
子どもの心は不安定
上記で示した通り、不登校にはある程度の段階があります。
これについては過去に記事にしていますので、もしよければ読んでみてください。
不登校の子どもは、外部からの影響によって心が動くことも多いです。
具体的にはこのようなものです。
ただでさえ、不安定でもろくなっている心理状態なので、他からの影響を非常に受けやすくなっています。
親は過剰に心配しすぎない
これまでの記事内容の通り、子どもは学校のこととか、今後のことを決して考えていないわけではありません。
そう見えないだけで本当はちゃんと考えているか、もしくはまだ考えられる状況ではないほど疲弊しているかのどちらかです。
後者の場合も、回復してきたら考えられるようになるはずです。
だから親御さんは必要以上に心配したり、お子さんを責めたりしないでください。
とは言え、親も一人の人間ですからいろいろ言いたくなる気持ちも十分わかります。
でもここは「急がば回れ」の精神で、まずは冷静に「戦況を見守る」というようなスタンスが必要です。
まず回復が最優先
不登校初期の頃の子どもはとにかく心も体もへとへとです。
へとへとで疲れ切ってしまったから学校に行くことができなくなったと考えられます。
なので、この時期はまずは子どもを「ちゃんと休ませる」ことに家族も専念すべきでしょう。
基本的には子どもの好きにさせてください。
場合によってはこの期間が結構長くなるときもあります。
でも、この場合はそれだけ疲れていたんだなと思うしかありません。
この期間が長ければ長いほど、それだけ親御さんからしたら耐え難い苦痛の日々になることもあるでしょう。
「一体この子の将来はどうなるんだろう」、「いつまでこの状態が続くんだろう」と、不安や焦る気持ちが出てくるのは十分理解できます。
ちなみにうちの子どもは3ヶ月くらいでした。
もしかしたらこの期間が不登校の子どもを持つ親にとって一番辛い時期かもしれません。
ここは忍耐強く耐えるしかない時期だと私は思っています。
回復してきたら一定のルールは必要
回復するまでは上記の通り、基本的には子どもの言う通りに、やりたいようにやらせるしかないと思います。(まあ、道徳的や社会的に明らかに問題があるような行動はさすがに注意すべきですが)
しかし、ある程度子どもが少し元気になってきたかなあと感じるようになったら、ぜひ次のステップに行動を移した方がいいでしょう。
具体的には下記です。
子どもによっては、回復してくれば誰かに言われなくても上記のことを勝手に自ら進んでやるようになります。
進んでやろうとしない場合は、少しずつ親御さんから提案してみてください。
中でも上二つの「一緒にゲームをする」「同じマンガやアニメを見る」というのはかなりおすすめです。
実際に私も子どもとよく「スマブラ」などのゲームをやったり、一緒にユーチューブを見たりしていて、そのおかげでとりあえず信頼関係が維持できたと感じています。
子どもを連れ回していい
子どもがいくらか回復してきて、家の中で少し活動的になれたら次の段階は「外」です。
外に一緒に出かけていいと思います。
私もよく買い物やドライブに子どもを付き合わせたりしていました。
子どもにとっては、いい気晴らしになっているようでした。
また、この場合もゲームなどと同じく、親御さん自身も楽しむべきです。
自分のためだけにわざわざ外に出掛けたというのは、子どもにとっては少しプレッシャーになったりしますので。
自分と一緒にいる親が楽しんでいるのを見て、子ども自身の自己肯定感も高まります。
ただ、アクティブに毎日出掛けたりすると、さすがにお子さんも疲れてしまうと思うので、そこは様子を見ながらお子さんの気持ちも聞いて、適度に外に出掛けましょう。
不登校は悪くない
子どもはただでさえ、不登校に対して「悪」と捉えがちです。
そんなときに親御さんも同様の気持ちでいると、他からの影響を受けやすい状態になっているお子さんもますますそのように感じてしまいます。
そうすると自己否定、自己嫌悪に陥り、心の回復が遅れます。
まずは親御さんが「不登校は別に悪いことではない」と捉えて、お子さんを温かく励ますように接してください。
まとめ
今回の記事をまとめます。
・考えていないときは、まだ心も体も回復していないとき
・子どもの状態を見ながらその時期に合った接し方をする
今回の記事は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた。
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