
こんにちは。
元高校教師のえむへいです。
この記事は、私が女子校の教員をしていたときに出会った生徒たちのことを思い出しながら書いています。
プライバシー保護の観点から書けないこともいろいろありますが、書いている内容はほぼ「実話」です。
この記事を読むことで、現在不登校で悩んでいる中学生やそのご家族の方々の悩みや苦しみが少しでも和らげばと思い、今回記事にしています。
この記事の内容は以下になります。
・不登校が改善した理由を考察
・不登校生の高校入試に向けて
中学不登校の2人はなぜ高校を卒業でき、大学合格も果たせたのか
2人とも中学校時代は不登校でした。
そんな彼女たちがなぜ高校ではきちんと進級卒業でき、大学合格まで果たせたのかということを私なりに考察していきたいと思います。
その前にまずは2人の人柄や高校での生活について簡単に触れたいと思います。
中学不登校Aさんの人柄

こんにちは。
一人の生徒を仮にAさんとします。
Aさんは色白で線が細い感じのおとなしく優しい生徒でした。
家庭環境は特に問題はなさそうで、友人も比較的多かったため、一見すると不登校の生徒とはわからないような女子でした。
でも中学校ではかなり学校を休んでいたようです。
彼女は特に保健室登校が多かったそうです。
普段の彼女は何だかいつも疲れているようでした。
特に親御さんや本人と話題にすることは3年間ありませんでしたが、おそらく彼女は「HSP」や「過剰同調性」からくる「慢性疲労症候群」だったんじゃないかなと私は思っています。
中学不登校Aさんの高校生活
基本的に彼女は誰とでもコミュニケーションが取れる生徒だったので、彼女の周りには多くの友人がいました。
ただ、よく風邪や頭痛などを理由とした欠席が特に1年生の頃には多かったです。
でも長くても2週間以上連続して休むということはありませんでした。
勉強は進学クラスに所属し、クラスでは中ほどくらいの成績でした。
勉強面でも問題はなく、友人関係にも恵まれている彼女の場合はとにかく、「体調管理に努める」というのが最大の目標でした。
学年が上がるにつれてだんだんと欠席も減っていき、3年生のときの欠席はたしか1ケタ台だったと記憶しています。
私は彼女の3年間の担任でしたが、3年間本当によくがんばった生徒でした。
中学校に比べて欠席もだいぶ減り、体調を崩しながらも勉強を続け、最後は看護系の道に進んでいきました。
将来は自分のように助けが必要な人たちの力になりたいと話していたのを私は今でも覚えています。
中学不登校Bさんの人柄

こんにちは。
もう一人の生徒を仮にBさんとします。
Bさんは普段からポーカーフェイスでどちらかと言えばドライな性格の生徒でした。
Bさんは中学校では3年間ほとんど学校に行ってなかったようでした。
でも学力は高く、特に国語の偏差値は70を越えていて、国語教師だった私ははっきり言って彼女に教えることは始めからほとんどなかったくらいです。
そのため、話す内容もとても論理的で知識も深く、でもその代わり、普通の女子高生が興味がありそうな物事にはまったく興味なさそうでした。
友人もほとんどいないBさんでしたが、我々教員のような大人とはむしろ積極的に会話をしたがるような生徒でした。
このような特徴からもおそらく彼女はASD(自閉症スペクトラム障害)だったんじゃないかなと私は個人的に思っています。
でもAさん同様、そういう障害や特性的な話題は本人や親御さんとは特にしませんでした。
中学不登校Bさんの高校生活
Bさんははたから見ていると、特に友人を必要としているようには感じませんでした。
基本的にいつも一人で読書をしている、という感じでした。
でももしかしたら内面では親しい友人を求めていたのかもしれません。
でも残念ながら、なかなかクラスの中で彼女とフィーリングが合うような人は見つからなかったようです。
でも特にいじめなどはなかったと私は認識しています。
そもそも、他にも一人で休み時間を過ごすような生徒が複数いたので、特に彼女だけが浮くような存在ではありませんでした。
BさんもAさんと同じ進学クラスでした。
とにかくこのクラスは8割以上の生徒が公立高校の受験に失敗して入学してきた生徒の集まりだったので、意識がいじめなどよりも、とにかく「次の大学入試では絶対に失敗したくない」というような雰囲気だったため、いじめどころではなかったかもしれません。
クラス経営的には比較的大きな問題も起こらず、扱いやすいクラスでした。
私は3年間ただクラスの生徒たちを励まし続けるだけだったので。
そんなクラスの中で過ごしたBさんですが、学校はかなり休みました。
2、3週間連続して休むということも結構ありました。
特に1年生ではほとんどの科目で「あと1時間休めばアウト」のような、欠席日数がぎりぎりの状態でした。
それでも何とか最後まで気持ちを切らさずに授業に出て、どうにか進級できました。
欠席の理由はAさんと同じく、風邪や頭痛や体調不良といったものでしたが、本当のところはわかりません。
でも、彼女もAさんと同じく学年が上がるにつれてだんだんと欠席が減ってきました。
ただ、Aさん以上に実際は欠席は多かったです。
でも進級できなくなるほどの欠席日数まではいきませんでした。
本当にぎりぎりのところでがんばっていたんだと思います。
その後私立の有名大学に見事合格し、無事に高校を卒業していきました。
【考察】なぜ2人とも高校で不登校にならなかったのか
上記のような彼女たちでしたが、2人とも中学校ではかなりの不登校だったにもかかわらず、なぜ高校では大丈夫だったのか。
このことについて、私なりに考察してみたいと思います。
本人たちの努力
彼女たちが高校で不登校にならなかった最大の要因は、何と言っても彼女たち自身の努力です。
まあこれを言ってはおしまいな感じなんですが、やはり「本人の努力やがんばり」なくしては何も生まれません。
中学校では「教室で授業を受ける」ことすらまともにできなかった彼女たちなので、高校入学当初は本当に辛かったと思います。
実際欠席も重ねてはいました。
でも欠席しすぎると単位取得や進級に影響が出ることはきちんと把握しており、自分に鞭打って、懸命に登校したんだと思います。
そしてそれを繰り返すうちに、だんだんと精神的にも肉体的にも免疫力がつき、「学校に通う」ということから「勉強して大学に合格する」というふうに目標をシフトアップできたんだと思います。
家族の協力
また、彼女たちの親御さんの協力も大きな要素の一つだったと思います。
欠席連絡の際や、定期的に行った二者(親と担任)面談のために、忙しいなか何度も学校に足を運んでくださり、そこで学校での様子、欠席状況、学習状況、家庭での様子など、密に家庭と学校とで情報共有を図ることに3年間協力していただきました。
また、おそらく家でも彼女たちに対して相当のフォローをしてくれたのだと思います。
環境の変化
彼女たちの中学校での不登校の理由は私はわかりません。
いじめや人間関係のトラブルなど、何か特別な理由があったのか、それとも特に何もなかったのか…
彼女たちも特にそれについては何も言わなかったので、私もあえて聞こうとはしませんでした。
でも一つ言えるのは、中学校と高校とでは様々な点で環境ががらっと変わるので、それが彼女たちにとっては良い方向に動いたのかもと感じています。
学校としての取り組み
これら「本人と親御さんのがんばり」、そして「環境の変化」に加えて要因として考えられるのは「学校の取り組み」です。
入学前の3月の面談
私が思う、学校の取り組みとして最大のポイントだったのは「入学前の面談」だったと感じています。
私が勤めていた高校ではちょうどその年から、中学校時代に不登校だった生徒とは、本人と保護者に入学前に学校に来てもらって面談を行おう、ということになりました。
本人と保護者、そして新1年学年主任と新1年担任(私です)の4者で面談を行いました。
2人とも中学校時代は相当な不登校状態だったので、そもそも2人ともその面談自体に果たして来てくれるのかと我々は心配していました。
でも、彼女たちはちゃんと来てくれました。
おそらく勇気を振り絞って来てくれたんでしょう。
また、親御さんもきっといい感じの声掛けをしてくれたに違いありません。
その面談で我々は、できる限り彼女たちの今現在不安に思っていることや、してほしいこと、してほしくないことなどを聞き、とにかく少しでも彼女たちの心配を取り除こうと時間をかけて話し合いをしました。
これが結局最後の最後、卒業まで効いたんだと私は感じています。
その年以降、この学校では成功事例として、不登校などの欠席が多い生徒や、人間関係が作りづらいなど何か心配があるような生徒とは必ず入学前に面談をすることになりました。
生徒の中学校時代での情報については、合格発表後に生徒の出身中学校から集めたりしていました。
欠席状況を随時チェック
もう一つ要因として考えられる学校の取り組みは「常に最新の欠席状況を情報共有」したことだと思います。
欠席の少ない普通の生徒の場合は、自分の欠席状況がわかるのはたいてい年数回行われる定期試験ごとに郵送される通知表でわかります。
しかし欠席が多い彼女たちの場合は、その頻度での確認だと後々手遅れになることが予想されたため、特に欠席が積み重なっていった2学期以降は1週間や2週間に一度のペースで、全科目の欠席状況を随時本人に表にして渡していました。
人によってはその行為はかなりのプレッシャーとなり、場合によっては逆効果になってしまうことも考えられたのですが、彼女たちはその表を見ながら「あと何回は休んでも大丈夫」とか「この科目はもうあまり休めない」など、それぞれで考えながら何とかがんばって学校に来ていました。
結果的にはそのプリントのおかげで2人とも自分の欠席状況の最新情報を常に把握できていたので、それが好結果につながったのではないかと思っています。
このプリントについては他の記事で詳しく紹介しています。
担任業務としては結構な労力でしたが、でもやって良かったと今でも思っています。
中学不登校の生徒の高校入学に向けて
中学時代不登校の人がいちばん心配されるのが「こんなに欠席しているのに自分は高校に行けるのか」ですが、行けます。断言します。
たしかに難関の私立進学校であれば、中学校時代の欠席日数が受験の際に引っ掛かってくる場合もありますが、普通の高校は欠席日数は見ません。
少なくとも私が勤めたいくつかの高校では、どこも欠席日数が多いから不合格とした受験生はいませんでした。
だからAさんもBさんも普通に合格でした。(たしかに欠席日数が多いなあとは会議で話題にはなりました。でも話題になっただけです。だから不合格、とはなりませんでした。)
中学校での情報は入試時に提出される「調査書(内申書)」によって高校側は把握します。
でも、中学校の先生方は受験に不利になると考えているのか、あまりネガティブな情報は調査書に書いてくれません。
だから、合格発表後になって、実はこの生徒は中学校時代不登校だったということがわかったりもします。
今回の記事のAさんも、「中学3年時の欠席日数は10日」としか調査書には書いてありませんでしたが、実は出席の大部分は保健室登校だったようです。
このように、ちゃんと教室に行って授業を受けていたのか、それとも保健室登校だったのかは、入試時点では高校側は普通わかりません。
このあたりのことは、下記の記事で詳しく解説しています。
まとめ

・それは本人と家族のがんばりと、学校側の対応による
・だから学校にはぜひ協力をお願いしてみる
・特に「入学前面談」と「欠席状況の表」は可能であればお願いしたい
今回の記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
コメント
えむへい先生
毎朝毎晩ブログ更新を心待ちにして読ませて頂いています。先生のお言葉にどれほど救われていることか…本当にありがとうございますHSCという言葉も先生のブログで初めて知り、より娘の言動が理解出来るようになった次第です。
昨年から中3の娘が不登校なのですが、コロナ休校のお陰で随分と元気になり、自分の朝食の支度まで出来るようになり、勉強も手につくようになりました。
…今日からフリースクールに通う予定でしたが、駐車場まで行ってみたものの車から降りることができませんでした…苦しそうな横顔を見ているのが辛かったです…勉強はしたい、けど同世代の人達が集まっている空間が怖くて…、と。
帰宅してから気を取り直して勉強や散歩に出かける娘を見送り、また先生のブログ記事を読み返しておりました。
いつかここを抜け出して、自分の力で歩んでいけることを信じて、支えていきたいとおもっています。
ともすれば、揺らぎそうな心が何とか平安でいられるのは先生のお言葉のお陰です。
先生もお忙しいことと思いますが、更新をささえにさせていただきたく…これからもどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
(いきなりの長文で失礼致しました)
コメントいただきありがとうございます。
コロナ休校が良い方向に動いたようでよかったですね。
朝食の支度や勉強というのは結構ハードルが高く、ある程度ほんとに元気にならなければなかなかできないものだと私は思います。
なので一昨日はまだ駐車場止まりだったようですが、一度の失敗は全然気にする必要はないと思います。
確実に娘さんは進歩してると思います。
その後気を取り直して勉強したり散歩に行けるということはかなり調子が良い証拠です。
あまり無理はし過ぎないようにしてください。
絶対に娘さんはこの後もっと良くなります。
そしていろんなことがまたできるようになります。
私からも応援していると娘さんにお伝えください。
更新頻度が低くてすみません…
でも今決めました!
これからはもっとたくさん記事書きます!
こうして私なんかの記事が少しでもお役に立てているというのを知り、やる気が出てきました!
大変ありがたいお言葉をいただき、やる気スイッチを押していただいて本当に感謝です(笑)
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
えむへい先生
お忙しい中、ご返信ありがとうございましたm(_ _)m
暗い夜の荒海に漂うような苦しい毎日を送っていた頃に先生のブログに出会い、灯台のようなその灯りを頼りに必死に泳いでいます。今回、思い切って先生に感謝の気持ちをお伝え出来て少し安心しました。
いつか夜が明けて、娘と共に陸に上がれることを信じて頑張ります
同じような苦しい日々を重ねている方々に、えむへい先生の灯りが届きますように…
先生、更新は頑張りすぎず、ガンバってくださいね!(ツイート読ませて頂くだけで、充分に明るくなれますのでご無理なく、です)
これからもどうぞよろしくお願い致します!
ご家族だけでなく、私にまで気を使っていただいてありがとうございます。
本当に私にとっても大きな励みとなるコメントです。
早く夜が明けて、陸に上がれることを私も祈っております。