こんにちは。
元高校教師えむへいです。
先日、上記の記事内で私は下記のようなことを書きました。
「子どもを褒めるのはとても難しいです。このことについては後日記事にします。」
ということで、今回は「子どもの褒め方」をテーマに記事を書いていきたいと思います。
【不登校の子どもに響け】正しい褒め方・ダメな褒め方
職業柄なこともあり、私はこれまで「子どもの褒め方」に関することをいろんな場面や機会で見聞きしてきました。
そのすべては一応参考になるものばかりではありましたが、ただその全部が自分の家庭や職場ですぐに使えるものばかりかと言われれば、そうでもなかったりするんですよね。
「ちょっとこの言葉掛けは家では使いづらいなあ」とか、「これは生徒との普段のやり取りではちょっと違和感があるなあ」とか。
なので今回の記事ではその中でも、私が個人的に使えると感じた、実際に私がよく家庭や学校で実践していた褒め方に絞って紹介していきたいと思います。
【基本スタンス】まずは褒めるべし
まずは「褒める」ということについて、私が考える基本を抑えていきたいと思います。
よく「褒められて伸びるタイプ」とか「叱られて伸びるタイプ」とか言いますが、私は基本的には多くの人間は褒められて伸びるタイプだと感じています。
褒められたらみんな嬉しいし、それによってもっと頑張ろうという気持ちにもなるだろうし、よっぽどの褒め殺しでない限り、基本は褒められてプラスになることはあっても、大きなマイナスにはならないと思います。
だからまずは中身がどうであれ、「褒めるのはいいこと」と捉えていいと思います。
これは不登校の子どもに対しても同じです。
まずは子どものことをたくさん褒めてあげましょう。
効果が低い褒め方というのがある
しかし一方では、「褒めるのは難しい」と言われたりしています。
世の中にも「良い褒め方」とか「悪い褒め方」の書物がたくさんありますよね。
このブログ記事もそのうちの一つです。
なぜ褒めるのは難しいと言われるかというと、褒めても子どもにあまり響かない場合が結構あるからです。
思ったよりも効果がない褒め方というのがあるんですよね。
そこで今回の記事では、どうすれば効果的な褒め方ができるかを見ていきたいと思います。
特にエネルギーが不足している不登校の子どもにとっては、効果的な褒め方によってだいぶ心の回復を進めることができると思います。
子どもが頑張ったことを褒める
上手な褒め方の基本路線は以下です。
「子どもが褒めてほしいと思っていること」というのは基本的には「自分に負けずに大きな負荷をかけてまでエネルギーをたくさん注いだこと」でしょう。
要するに簡単に言えば以下です。
テストでいい成績を取って褒める場合も、「勉強をすごい頑張ったんだね」って褒めてあげたらいいでしょうし、部活動でいい結果を残したことを褒める場合も、「練習や試合で頑張ったね」って褒めてやればいいと思います。
不登校の子どもの場合は、「朝普通に起きれたとき」とか、「外に出れたとき」とかですかね。
とにかく基本は「頑張ったね」って言われるのが子どもは嬉しいと感じ、またそれが次の行動につながる原動力になると思います。
私も家や学校で「頑張ったじゃん!」という言葉をよく使ってました。
だから繰り返しになりますが、まずは子どもが頑張っていることを褒めてあげたらいいでしょう。
なので逆に言うと、「結果だけ」褒めてもいい反応が返ってこないことがあるんですよね。
先の例で言うと、「テストの成績だけ」や「部活動の結果だけ」を褒めるというパターンですね。
まあそれでも喜ぶ子どもも普通にいて、「よし次も頑張ろう」となる場合もありますが、でも中にはいまいち喜ばない、反応が薄い子どももいます。
よく言われる話ですが、結果だけを見ちゃうと、子どもも結果しか求められないプレッシャーを感じてしまって、それだと教育的に苦しくなってしまうんですよね。
子どもとしては素直に喜べないというか、結果を出さない限り自分は褒められないのかと感じるというか。
結果に対して子ども本人が自分で自分にプレッシャーをかける分には別に構わないとは思いますが、親などの他人から結果を求められるプレッシャーについては、子どもにとってはやっぱり苦痛でしょう。
だからやっぱりなるべく頑張った、努力を重ねたという「プロセス」を褒めてあげたいですね。
でも子どもは結構鋭い
でも子どもってなかなか侮れない存在なんですよね。
子どもながらによく見ているというか、鋭いというか。
下記の例のように、自分の頑張った様子、努力を重ねた姿を見ていない人から「頑張ったね」と言われた場合には、子どもはけっこう厳しい反応を示します。
俺の頑張ってた姿どうせ見てないだろ。
だからそう言われても別に全然響かないわ。
私がどれだけ努力を重ねたか知らないくせに調子いいこと言って。
大人は嘘つき。
みたいな感じになってしまう場合があるんですよね。
子どもって自分のことを見られているか見られていないかがちゃんとわかっているんですよね。
だから、頑張ったことを褒める場合は「その姿をこちらはちゃんと見ていたよアピール」をしなきゃいけません。
それはどうすればいいかというと、その見ていた様子を具体的に(時間や方法などを)言ってあげればいいと思います。
「いつも夜遅くまで勉強頑張ってたね」
「毎日〇時から〇時まで練習頑張ってたね」
「ノートに何度も繰り返して練習してたね」
「自分で練習計画を立てて実行してたね」
不登校の場合だったらこんな感じですかね。
「昼夜逆転を直すために夜〇時には布団に入ったんだね」
「前の晩に学校の持ち物の準備ができたんだね」
これらはどれも、子どもにとっては「一生懸命子どもなりに頑張ったこと」に当たるでしょう。
これらを大人は「ちゃんとその頑張りを見ていたぞ」と言わんばかりに言及してあげたらいいと思います。
私は基本いつもこのパターンで家庭や学校で子どもを褒めてました。
「時間」や「方法」についてコメントできるということは、それだけちゃんと子どものことを見ていたということになりますよね。
あと私がよくやっていたのは、「本人に代わって分析してあげるパターン」です。
テストだったら、「この問題が解けたということは普段こういう頑張りをしてきたっていうことだね」とか、部活動だったら、試合で良かった動きを指摘して、「あの動きができたのは普段こういう練習をしてきたからだ」とか。
不登校の場合だったら、「日中に〇時間も外出できたなんてすごい進歩だ」とかですかね。
本人が自分の頑張りや結果、進歩に気づいてないことを大人が言ってあげるパターンです。
これらも子どものことをよく見ているアピールにつながるコメント内容だと思います。
話す側としてはちょっと面倒な面もあるんですが、でも細かく言ってあげることで子どもに具体的に見ていた内容が伝わるので結構効果があるように感じます。
結局子どもをちゃんと見てないと上手に褒められない
ということで、結局次のことが言えます。
子どもって基本的にはやっぱり「見てほしい生き物」なんだと思います。
だから子どものことをそもそも見ていないと先に進めないというか。
普段の子どもの様子を見ていないと、その頑張った様子を具体的にコメントすることもできないし、また、子どもにとってどういう活動が頑張ったことに当たるのかがわからないんですよね。
なので、時間も労力もそれなりにかかるんですが、でもなるべく子どものことはたくさん見てあげたいですね。
褒めるときの言葉は何がいいのか
私が褒めるときに使う言葉は以下の3つがほとんどです。
「すごい!」
「えらい!」
一応私は元「国語」教師ですが、結局こんなもんです。
「すごい」とか「えらい」は褒め言葉としてはいまいちみたいな記事も見かけますが、私はこれらも結構しょっちゅう使っちゃってましたね。
これまで書いてきた通り、子どもの頑張っている様子をちゃんと見てきた上での言葉掛けであれば、別にこれらの言葉でも私は全然OKだと思っています。
ちゃんと子どもが頑張った内容を褒めてあげたら言葉は何でもいいです。
また、あまり難しい言葉だとかえって子どもに伝わりにくい場合もあるので、子どもでもわかりやすい簡単でシンプルなこれらの言葉の方がむしろ適しているのではと私は思っています。
褒めるタイミングの問題
褒めるときは、なるべくその褒める内容が起こった「すぐ後に」褒めた方がいいですね。
あんまり時間が経ってしまった後だと、やっぱり子どもからしたら「え?今頃?」ってなりますから。
それでもやっぱり結構家でも学校でも、褒めるのに躊躇してタイミングを逃してしまったなあと思う場面も多かったです。
なかなかうまくいかないときもありますが、でもなんかあったらなるべくすぐに褒めてあげたいですね。
その他のおすすめな褒め方
他のおすすめ褒め方パターンも少しだけ見ていきます。
これらも家庭や学校でよく私が使っていたパターンです。
○○も言ってたよパターン
これは「三角褒め」と言われているらしい褒め方パターンです。
特に学校ではこんな感じで自分のクラスの生徒によく使ってましたね。
〇〇先生も褒めてたよ。
結構生徒の反応がいいんですよね。
嘘はダメですけど、少しでも誰か他の先生や生徒が自分に関わる生徒のことを褒めていたら、なるべくすぐにそれを伝えるようにしてました。
やっぱり生徒からしたら「いろんな人が見てくれている。評価してくれている」と感じて嬉しいんじゃないかなと思います。
間接褒めパターン
※この項目は追記です。(2020/01/16)
私えむへいのTwitterのフォロワーさんであるRa:さん(@ra_hiiragi)から先日貴重なお話をいただいたので、ここに追加記事を載せたいと思います。
Ra:さんからいただいたツイートは以下です。
「本人が喜ぶまで褒める」があります。
うちの子のように特性のある子には特に大切な気がします。
三角褒めになるのでしょうか。夫や兄弟に対して、本人に聞こえるようにその子を褒めたり、「お姉ちゃんが優しくてよかったね」みたいな褒め方がうちの子には効果的な気がしています。— Ra: (@ra_hiiragi) January 15, 2020
上記ツイートに書かれているように、「〇〇も言ってたよパターン」とはまた別の三角褒め、要するに「間接褒め」っていうのもあるんですよね。
私も確かにこれは特に教師として学校でよく使っていた方法でした。
これも結構効果が高いんですよね。
ということで、この褒め方に関して少し説明していきたいと思います。
Ra:さん、引用を快く承諾していただきありがとうございます!
「間接褒め」は具体的に次の3パターンを私はよく使っていました。
②本人がそばにいて本人にわかるような声量で他の子どもに伝えるパターン
③本人がいないところで他の子どもに伝えるパターン
①本人を目の前にして他の子どもに伝えるパターン
ねえねえ、Bさんちょっと聞いて。
Aさん〇〇頑張ったんだよ。すごくない?
えー、すごーい!
え、そんなことないよ。(照)(恥)(嬉)
本人の目の前で、他の子どもに対して本人のことを褒めるパターンです。
やっぱり直接自分に言われるだけじゃなくて、他人にまで自分のことを話してくれるということは、それだけほんとに自分がちゃんと褒められるに値することをしたんだなと感じますよね。
たいしたことない内容だったら、他の人にまで話したりしないものですから。
自分の頑張りが他に拡散されるだけのものなのだと感じるので、それだけ嘘の見せかけの褒めじゃない、本当の褒めだと感じるという形ですかね。
クラスみんなの前で特定の生徒のことを褒めるということも私はたまに行っていましたが、それもこのパターンに当てはまりますね。
②本人がそばにいて本人にわかるような声量で他の子どもに伝えるパターン
ねえねえ、Bさんちょっと聞いて。
Aさん〇〇頑張ったんだよ。すごくない?
えー、すごーい!
(え、もしかして先生、私のこと言ってくれてる?)(照)(恥)(嬉)
これは、本人には聞こえていないと思っているふりをして、本人のことを他の子どもに伝えるパターンです。
これもやっぱり前項のように、「自分のことを他人にまで話してくれるくらい(しかもこのパターンは自分がいないところでわざわざ話している)私は褒められることをしたんだなあ」と本人が感じてくれたらいいなあというのを狙って、たまに私も使っていた方法です。
多少芝居が必要な面もあるし、結局本人がこちらの会話を聞いて寄ってくるパターンもありましたが、そのときは「おーAさん。ちょうど今Aさんのことを話していたところだったんだよ」って言ったりしてました。
③本人がいないところで他の子どもに伝えるパターン
ねえねえ、Bさんちょっと聞いて。
Aさん〇〇頑張ったんだよ。すごくない?
えー、すごーい!
その後・・・
Aさん!えむへい先生から聞いたよ!すごいね!
え、聞いたの?!
別に全然すごくないよー(照)(恥)(嬉)
これはもう完全に間接的に褒めるパターンを狙ったものです。
基本的に上記3項目ともすべて一緒ですが、「他人に自分の功績が伝わる」、「他人から間接的にそのことを褒められる」というのは、それだけ自分の功績は大きいものだ、本当に心から先生(褒める発信者)は褒めてくれているんだと感じてもらえると私は思います。
とにかく間接褒めパターンを使うと、こちらのコメントの信頼性や信憑性が強まる気がするんですよね。
テキトーに褒めてるんじゃない、本当にちゃんと褒めているんだということが、この褒め方パターンだと伝わりやすい気がします。
一つだけ注意点
以上3つの「間接褒めパターン」はどれもとても効果が期待できて、私もよく使っていた褒め方です。
しかし、一つ気をつけなければならない点もあります。
それは上記の例で言えばBさんの存在です。
そもそも「AさんとBさんの関係性が良好である」というのが、この褒め方では大前提になります。
Aさんのことをあまり良く思っていない子どもにAさんのことを褒める内容を伝えても、別にほとんど何も効果が期待できないし、もしかしたらかえって悪い方向に進んでしまうことさえあるでしょう。
Aさんと比較的仲の良いBさんにだから伝えるのであって、でないと③のパターンのようにAさんにまで先生が褒めたことがそもそも伝わりません。
③のパターンでは別に先生は「Aさんに俺がそう言ってたって伝えてね」なんて頼んでいないので。
だからBさんの存在ってかなりキーマンです。
繰り返しますが、Aさんとの関係性が良好で、しかも物事に対して肯定的にとらえることができる子どもじゃないと、この褒め方パターンはあまり使えないかもしれませんね。
でも逆にそういう子どもがいたら(実際の場面ではご家庭では兄弟姉妹でしょうか。あとは親御さんでも別に構わないと思います。)、ぜひうまく活用してもいい褒め方パターンだと思います。
少しでもいろんな人から見られる、褒められるという感覚を味わってもらって、不登校の子どもの下がり気味な自己肯定感、自己有用感のアップにつなげたいですね。
※追記は以上です。
一緒に喜ぶパターン
自分の子どもが何かで活躍したり、自分のクラスが合唱コンクールなどの行事で優勝したりしたときには、私も思いっきり喜ぶようにしていました。
今振り返れば、「半分は本当で、半分は演技」だったような気がします。
でもやっぱり子どもたちにとっては、自分たちの頑張りのおかげで他人が喜んでくれているのを見るのは嬉しいと思います。
その気持ちがそのまま「自己肯定感」や「自己有用感」につながっていくことになるでしょう。
特に不登校の子どもの場合は、かなりこれらが低いことが多いので、多少芝居じみても、親も一緒になって喜ぶという姿勢は少しは必要ではないかと感じます。
ただしこれはある程度演技力も必要です。
あんまり大根役者だと子どもも興ざめしてしまうので…
効果が低い褒め方
では逆に「効果が低い褒め方」も少しだけ見ていきます。
簡単に言えば、これまでの記事内容と違う褒め方や逆の褒め方が該当しますが、一応見ていきますね。
まずは下記の褒め方です。
記事の前半でも書きましたが、結果自体は別に褒めてもいいんですが、結果「だけ」を褒めるのはやっぱり避けたいですね。
やっぱり「結果」+「プロセス」を褒めるのがおすすめです。
あと、結果主義だとそもそも褒める機会がかなり減っちゃう子どもが出てきますよね。
特に不登校の場合はいろんなことができないことが多いので、結果主義だとほとんど何も褒めてあげられないという悲しい状況になってしまいがちです。
だから、結果が出ていなくても、そこに至るまでに子ども本人が頑張ったこと(「学校に行けなくても持ち物の準備はした」とか「毎日続かなくても最近外出ができている」など)をちゃんと褒めてあげたいですね。
あとは以下のような褒め方もいまいちです。
これらも記事前半に書いた通り、子どもから「見てないじゃん」と突っ込まれてしまうパターンの褒め方です。
でも実際はこれらも私は家庭や学校でやってしまってましたけどね。褒めないよりはマシという感じで。
だから、これらも効果がないとは言いませんが、なるべくちゃんと子どものことを見てあげて、できる限り具体的に褒めてあげましょうということですね。
また、以下の褒め方も効果が低いです。
子どもにとって「褒められても嬉しくないポイント」を褒めるというパターンです。
子どもが別に一生懸命頑張ったことではないポイントを褒めてしまうというものですね。
でもこれは実際は結構難しいです。
かなり普段から子どものことを見ていないと、何が頑張ったことで、何が子どもにとって簡単なことなのかわからないので。
これは家でも学校でもよく失敗してましたね、私は。
子どもの反応が薄いのを感じて「あーそうか。これはこの子にとっては簡単なことなんだな」とわかって、その次から褒め方を修正していく感じでその後に生かしてました。
でもやっぱり褒めないよりはいいだろうという思いで、めげずに基本はどんどん褒めて、トライ&エラーを重ねてましたけどね。
まとめ
では今回の記事をまとめます。
・より効果が高い褒め方をするには子どもをちゃんと見るところからスタート。
・具体的に「見ているぞアピール」になるような言葉掛けをしましょう。
・褒める言葉自体はあまり気にしなくていい。
・なるべくそのときに褒めましょう。
今回は以上になります。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
ではまた。
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